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等身大で地域とつながる美容室。NORMCOREがレイクタウンから伝える「究極の普通」

「髪を切りに行ったら、もっとその街が好きになる。」

越谷レイクタウン駅から徒歩1分の場所に、そんな美容室がある。

2016年にオープンしたNORMCOREは、夏には花火の夕べ、秋にはハロウィンパーティーを企画したり、木曜日には美味しいスペシャリティーコーヒーがいただけたりと、「髪を切る」という枠を超えた美容室だ。

今回は、代表のshige(堀井茂樹)さんにそんな魅力的な美容室ができるまでのお話を伺った。

場所作りへの思いが、美容師につながるまで

ーーNORMCOREさんは「大人の社交場」をコンセプトにされていますが、そのコンセプトはどの様に生まれたんですか?

shigeさん(以下、shige):学生時代、我が家には友達がいることが多かったんです。その感覚がとても好きでした。

みんな何となく集まって、漫画を読んだりゲームしたり、それぞれ好きな事をしている空間が何かいいなぁと。

人がふらっと集まる場所って心地いいなと何となく思っていたんですよね。本来ヘアサロンってそういう場だったと思うんです。

髪を切りに来て「最近どうよ?」みたいな他愛もない話をしたりとか。

NORMCOREという名前も「ノーマル」と「コア」の造語なんですが、肩肘張らずにありのままの自分で行こうよという意味でつけました

ーーもともと場づくりへの想いが強くあったんですね。

shige:そうですね。

そのような場を作るために何ができるか、というのを考えた時に漠然と「美容師」というものがあったんだと思います。

ーー実際に美容師になろうと決めたのはいつだったんですか?

shige:実は高校卒業後、すぐに美容学校に行ったのではなく、1年間と決めて様々なアルバイトを経験していました。

ーーユニークなご経歴ですよね。

shige:もともとうちは裕福な家庭ではなかったので、高校を卒業した後とりあえず大学に行きながら考える、という選択肢はなかったんです。

それであれば将来役に立ちそうな職業を色々経験してみたいなと思いました。

ーー何種類くらいのお仕事をされたんですか。

shige:最初は渋谷でキャッチセールスをやりましたね。

人はどのように動かされるのか、決断をするのかということを考えるきっかけになりました。良心が痛んでしまってすぐにやめてしまいましたけどね。

他にもトラック運転手や、車の板金屋さん、バーテンダー、八百屋の売り子、お寿司屋さんの配達もしていました。

ーー色々と経験されてみて、どんな仕事がご自身に合っていると感じましたか。

shige:人と話すことが好きなんでしょうね。

特に、八百屋の売り子やバーテンダーはやっていて楽しかったです。

よく話す方もいれば、黙々とお酒を飲んだり野菜を選んでる人もいて、色々な方がいるなぁと思いましたね。

美容室でもそうなんですよ。お話をよくされる方もいれば、静かに過ごしたい方もいらっしゃいますし。

そういった意味では今でも同じようなことをしているのかな、と思いますね。

ーーその後、どのようなきっかけで美容学校に入ろうと思ったんですか。

shige:うちは両親が美容師で、高校を卒業して美容学校へ行くという決まったレールから外れたかったというのもあって、1年間働いていたんですけど、その時には多分美容師になるかもな、というのは潜在的にはあったんですよ。

ただ、そのままストレートで行くのは嫌だったと思うんですよね。

そんな中、ふとしたきっかけで既に美容学校に通っていた高校時代のクラスメイトに会った時に「楽しいよ」と聞いて、美容学校を受けてみようかなと思いました。

彼女が後押ししてくれた感じですね。

ーーすごくタイミングが良かったんですね。

shige:そうなんですよ。全部タイミングが良くて。ここを見つけたのもすごくタイミングが良かったんです。

きっかけは家探し。アメリカ・ポートランドと重なったレイクタウンの魅力

ー一この場所はどんなタイミングで見つけられたんですか。

shige:もともとは都内で働き、都内で暮らしていたんですが、子どもが生まれるタイミングで、僕と妻の地元でもある埼玉で住宅購入を考えました。

そうしたらレイクタウンが住みやすい、子育てしやすいという情報が入ってきたんです。

家探しでレイクタウンに来た際に、街を歩いていて、緑と共存する様に綺麗に建てられた広々としたお家や、ゆとりある街並、温かい空気が流れている感じがすごくいいなと思って。

街の中心にある湖で妻と息子が笑顔で遊んでいる姿を目にした時に、ここでお店をしたいなと思いました。

適度に東京に近いというのもポイントだったんですよ。

レイクタウン以外に見に行った街もあったのですが、田舎すぎず、都会すぎないこの空気感が決め手となりました。

アメリカのポートランドの空気がとても好きなんです。

適度に自然もあって、アートやカルチャーが良い感じに融合してるじゃないですか。あの街みたいにしていきたいな、って思いました。

この建物は新築なんですけど、実は2年間スケルトンのままになっていたんです。

この建物を初めて見た時、ここしかないなと思いました。

初めてレイクタウンに行ったのが11月中旬、物件を見たのが12月頭くらいで、翌年2月にもう前職のお店を辞めているんです。そして、4月にここをオープンしました。

ー一早くないですか?

shige:すごくテンポよく進んできました。

ー一思い立ってからイメージを実現する力がものすごいですよね。なぜだと思いますか?

shige:運が良かったんだと思います。ただ、自分の思ったことはとことんやるタイプです。

融資が決まったのが実は3月中旬だったんですが、既に3月頭から着工も始まっていたんですよ。

ーー融資が決まる前に工事を始めるのは怖くなかったですか。

shige:できなかったらできなかったで、どこかでまた就職すればいいと思っていました。

まずやってみないとわからない、と思って踏み切りましたね。

一一緒にお店をされている奥様とはいつから独立の話をされていたんですか?

shige:結婚した頃からです。

妻も美容学校の同級生で、埼玉でお店ができたらいいね、という話は前からしていました。

まさかこのタイミングとは思っていなかったですけどね。

まずは自分がワクワクすることから。街へ広がった「大人の社交場」

ーーヒト・コト・マチをつなげる場として、どの様な取り組みをされていますか?

shige:最初に行ったのは、「花火の夕べ」というイベントです。

ちょうど店の前から草加の花火大会がきれいに見えるんですよ。花火鑑賞をしつつ、ゆったり過ごすというイベントでした。

最近では、英会話スクールさんとコラボレーションしたハロウィンパーティーや、ご近所の結婚式場を借りて3rd Anniversary Partyを行いました。

どちらもオーナーさんがカットでいらしてくださったことがきっかけで生まれたイベントです。

また、木曜日の朝、フリーでバリスタをされていらっしゃるkodama coffeeさんにPOP UPのコーヒーショップをしていただいているんです。

うちは木曜日に7時から営業を行っていて、せっかくであれば美味しいコーヒーを飲める機会を作りたいと思いまして。

早朝予約していただいた方にも、そのスペシャリティーコーヒーを飲みながら、出勤前の時間を気持ちよく過ごしてもらいたいなという気持ちがあります。

ー一kodama coffeeさんとはどのように出会ったんですか?

shige:レイクタウンにあるFlying Saucer Coffee Houseの店員さんにジャズシンガーの方がいらっしゃるんです。

一度その方をお招きしてアフタヌーンジャズというイベントを開催したのですが、その方からご紹介いただきました。

人から人へ、良いつながりをいただくことが多いですね。

ーー朝7時からというのはすごく新しいスタイルに思えます。そのようなアイデアはどのように思いつくんですか?

shige:実は、今うちが行っていることって、開業前に計画していたことばかりなんです。

それを一つずつ形にしていっている感じです。

うちには4歳の息子がいるんですが、朝10時にオープンして夜8時・9時まで営業していると、家族の時間がなかなか取れないんですよね。

朝早くオープンして夕方クローズすれば、家族の時間がゆっくり取れるかなと考えたこともきっかけです。

ーーshigeさんは、「GOOD LAKE NEIGHBORS」というコミュニティ活動もされていらっしゃるんですよね。

shine:はい。

GOOD LAKE NEIGHBORSは、カットでお客様とお話する中で、少しずつお声がけをしていってできたコミュニティです。

このコミュニティで「GOOD LAKE JAMBORIE」という夏のお祭りを企画し、去年は何千人規模というお客様にいらしていただきました。

GOOD LAKE NEIGHBORSは、ネイバーフッドという考え方がベースになっています。

住む人たちが、その街のことを自分たちでもっと考えて、よりよくしていこうという。

そんな考え方をベースにこれからも動いていけたらいいなと思います。

 

ーーまさに人と人を繋げる場をたくさん作られているんですね。その原動力はどこから来るんですか?

shige:まずは自分がワクワクするというのが大前提にあるんです。

自分がやりたいことをやっているだけなんですよ。「働いている」感が一切ないので、できるんだと思います。

ー一色々なことを発信されていらっしゃるので、価値観の近い方が集まってこられそうですよね。

shige:そうですね。

ここに来ると何か新しい発見がある、と感じていただけたらと思います。

お客様との会話の中で、「あ、この方とあの方が繋がったら面白そうだな」と思ったらご紹介したり、そういう席を設けたりしています。

実際にお客様同士が仲良くなられるとすごく嬉しいですね。

ここで出会ったことがきっかけで一緒に新しい事業を始められた方もいらっしゃいます。そこまでいかなくても、道で会った時に挨拶する仲になったりとか。

仲の良い人が増えると、その街に住むことが楽しくなりますよね。

ー一引っ越した先で新しいことを始めるのは大変だったかと思うのですが、どのように街に馴染んでいかれましたか。

shige:あまり意識はしていなかったですね。

馴染もうというよりは、ニューウェーブを作ろうと考えていました。新しい色を塗っていって、コンセプトに共感した人が集まるような。

だから、この新しい街を選んだというのもあります。

たくさんのメモから形作られたミッション

ー一独立されるまで、イメージはどのように膨らませていっていたんですか?

shige:とにかく夢中でした。

shige:実はメモするのがすごく好きなんです。

ほしい物リストやお客様から聞いたオススメのお店、広告のコピーからブログのテーマまで、何でもメモします。

とりあえず思いついたことをどんどん携帯にメモしていって、それをつなぎ合わせていった、という感じですね。

コンセプトの核となる部分はもちろん、自転車の空気入れサービスをしたい、なんていうのものも遡るとメモに残っていますね。

ー一メモを取る習慣はいつから始めたんですか。

shige:新卒の就職先で働き始めてからですね。

常にお客様をお見送りした後、次のお客様に会う前にメモをしています。

ー一お店のサイトに載せられているミッションはどのように決められたんですか。

shige:お店をしていくにあたって、軸をぶらしたくないと考えて、メモを繋ぎ合わせながら事業計画書を書くときに決めました。

ミッションがしっかりしていると他のメンバーにも共有しやすいですよね。

ーー職場づくりについて、どのようなことを特に大切にされていますか。

shige:ABC(当たり前のことをバカにせずちゃんとやる)と5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底をしています。

当たり前のことをバカにしないでちゃんとやるってすごく大事だと思うんです。

今、当たり前のことができない人が増えているので、それらをきちんとしているだけで評価をいただけることもあります。

基本を大切にできる人を増やしていきたいと思っています。

変わらないために変わり続ける。NORMCOREのこれから

ー一今後のビジョンについて教えてください。

shige:自分もワクワクしていたいし、周りの方にもワクワクしていてもらいたいです。

そのために、「変わらないために変わり続ける」という言葉がしっくりきます。

コンセプトに沿った新しいことに挑戦し続けることで、ベースとなる価値観・大切な部分は変わらずにいられるんじゃないかと思います。

お店を拡張したいという思いは全然なくて、このスタンスのままでいきたいなと思います。

NORMCOREの意味である「究極の普通」って、一番自分らしいということ。それを保ち続けたいなと思います。

取材を終えて

お店で髪を切ってもらっている途中、「GOOD LAKE NEIGHBORS」のメンバーでもあるというお客さまがご来店された。

去年一緒にイベントを企画したメンバーで、都内に引っ越しをした後もお店に来られているとのこと。

その方とshigeさんのやりとりを聞かせていただいて、お店のオーナーとお客さまという枠を超えた温かいつながりを感じた。

NORMCOREのお客さまは、ただ髪を切るのではなく、shigeさんやお店のスタッフさんに会いたくて足を運んでいるように思う。

shigeさんが描いた“大人の社交場”から、次はどのようなアイデアが形になっていくのか、とても楽しみだ。

▽今回お話しを伺った場所

NORMCORE

住所:埼玉県越谷市レイクタウン8-10-9 アビエス 1F

URL:http://normcore.works/

〈インタビュアー・文:aya / 企画・編集・ 撮影:藤田昂平

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