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大袋にはビジネスチャンスがある。行列のできる人気店「白山ベーグル」誕生の秘密

大袋にはビジネスチャンスがある。行列のできる人気店「白山ベーグル」誕生の秘密

2013年に駅舎の改装が完了した大袋駅。駅構内のバリアフリー化に西口開設と大きく生まれ変わった。改札を入れば目の前にはホーム、という昔の駅を知る者としては少しさびしさも感じつつ、特に西側の駅周辺が整備されて便利になったことで街が活性化することに期待している。

大袋駅の西口からすぐのところにある、周囲とは少し趣の違ったオシャレな店「白山ベーグル」。2012年に開店し、開店からしばらくは日中に店を閉めても生産が間に合わないこともあったという超人気店だ。

かつては都内で行列のできるカフェ経営にも携わったという店主の柴﨑さんに、白山ベーグル誕生の裏話と大袋でのビジネスについて話をうかがった。

元は白山にあった「白山ベーグル」

ーーお店の名前にある「白山」はどこからきているのでしょうか。

実は都内の白山で「白山ベーグル」というカフェをやっていたんです。大学時代の友人3人でやっていたお店です。

今は福井、神奈川、そして越谷とそれぞれ別の場所でお店をやっていますが、近くに別の白山という地名があったりして他のお店は名前を変えました。他で使わないなら名前がなくなるのも寂しいですし、「白山ベーグル」という名を継ごうと思ったんです。

ーー確かにネットで検索すると文京区の「白山ベーグル」がヒットしました。

文京区の白山ベーグルもたくさんの方に来てもらいましたが、今はお店を閉めてしまいました。

味も製法も文京区時代のものとは変わっているので、同じ名前とはいえ2号店や2代目という感じではないんですけどね。

ーー白山での人気店を閉めて大袋で出店とは思い切った決断ですよね。なぜ大袋だったのでしょうか。

私が大袋の出身でずっと住んでいるからですね。白山時代もここから通っていましたが、通勤って時間取られるんですよね。終電があるからベーグル作りを切り上げざるを得ないこともありました。だから自分で店をやるなら近いところと考えたんです。自転車で通える距離、これは絶対に外せない条件でした。

最終的にせんげん台と大袋で迷いました。でも家賃などを考えると大袋なら駅前で出店できる額でもせんげん台だと駅から遠くなってしまう。やっぱり飲食ですし、駅から近いほうがいいと思い大袋になったわけです。

学生時代に移動販売を経験

ーー柴﨑さんは昔から飲食に興味があったのでしょうか。

いえ、まったくそんなことはなくて。大学卒業後は会計事務所で働いていました。会社の設立や決済が仕事でした。友人たちに声をかけられて3人で白山ベーグルを始めたところからですね。

もう少しさかのぼると、実は学生時代にその友人たちと移動販売をやっていたんですよ。駅やオフィス街を移動販売車でまわるやつですね。

売れたことは売れたんですけど、やっぱりランチだけになってしまうんです。商売としてやっていくのは難しいと感じました。それでも友人たちと事業を起こしたい気持ちはあったので、「まずは就職して経験を積んでからやってみよう」と。

1人は飲食の勉強をするために専門学校へ、1人はコーヒーが好きなのでカフェで勉強を、そして私は経理の方向へ進みました。

 

会計事務所勤務からカフェの共同経営へ

ーーそれぞれが経験を積んで、そして言葉通りにまた集まって始めたのが白山ベーグルなんですね。

友人の勤めていたカフェがなくなることになって、そこで出していたベーグルを使って何かできないかと思ったんですね。当時はベーグルなんてまったく名前が知られていなかったんですけど、店主さんがベーグルの卸を始めると言うので、それを使えばうまくいくんじゃないかと考えました。

そのときあった資金で都内にお店を持とうとしたら、たまたま白山に良い場所があったんです。家賃も都内にしては安い方でした。ただ近くに人があまり来ないようなところだったので、はじめは暇でしたけど(笑)

ーーはじめから行列のできるお店だったわけではなかったんですね。

暇だったのが良かったのかもしれません。あり余る時間を使って、自分たちで少しずつベーグルを作るようになりました。そうしたら少しずつ売れるようになって設備投資をして。行列のできるような店になるのには5年くらいかかったと思います。

大袋で出店。開店当時は作っても作っても追いつかない毎日

ーーそんな人気店を閉めて大袋で独立というのは大きな挑戦だったのでは?

都内でもベーグルの専門店は少ないので、大袋ではまったく相手にされないかもしれないという不安はありました。売れ方が全く読めなくて、無視されるかと注目されるかの二択でイチかバチかみたいな感じですね。

実際はたくさんの方に来てもらえて安心しました。近所の方はもちろんですが、ベーグル好きな方が遠くから来てくださることもあります。

ーー私も開店当時に噂を聞いていました。「行列がすごくて全然買えない店」って聞いたこともあります(笑)

いやもう、本当に申し訳ないです(笑)

パン屋って最初の1ヶ月は特に並んでもらえるものですから覚悟はしていたのですが、100mくらい行列ができてしまって。最初の1ヶ月は店を開けてもすぐに完売してしまいました。一度店を閉めてベーグルを補充しても1時間くらいでなくなっちゃいました。

お客さんが落ち着くまでは白山でやっていたサンド類も手がまわらず、とにかくベーグルを作って売ることしかできませんでした。徐々にサンドメニューを始めたり季節のベーグルを作ったりしていきましたね。あと、コーヒーの販売も始めました。

ーーお客さんはやっぱり近所の人が多いのでしょうか。

平日はそうですね。近所の方、遠くてもひと駅かふた駅先ぐらいの方が当日の食事として買いに来てくださっています。

でも土日となると遠方からの方が増えますね。自宅用のほか、お土産用に買っていかれるかたもいて。なかには10個、20個と大量購入してくださる方もいらっしゃいます。

地域とのつながりも

ーー白山ベーグルは「越ヶ谷の縁起コロッケ」にも参加されているんですね。

商店会や商工会など、近くの方とは仲良くさせてもらっていて。縁起コロッケも参加していますが、うちでは設備的にコロッケを揚げられないんですよ。それで東口のからあげ屋さんが作ってくれた「越谷の縁起コロッケ」を使ってサンドイッチを作っています。

※「越谷の縁起コロッケ」・・・縁起物とされる越谷のクワイを使ったコロッケ。毎年市内の飲食店や惣菜店で1月~3月まで販売される。

【2018年度】参考URL:今年も販売します「越谷の縁起コロッケ」

ーーお店だけでもお忙しいのに、イベントにも参加されるんですね。

はじめはお店が大袋なので宣伝の意味もあって、イベントやマルシェなどにもできる限り参加するようにしていました。越谷駅前で開かれるマルシェ「AchaAcha」や市役所前での「手しごと市」には昔から声をかけていただいています。

お店ができたときより市のイベントが格段に増えましたし、手作りだと出店するのに2週間ほど時間がかかってしまうため、頻繁には参加できないんですけどね。

今はおかげさまで宣伝目的ではなく、単に自分たちが楽しむ意味で参加できるようになりました。ベーグルだとお昼にはなくなってしまいますから、そのあと食べたり飲んだり楽しめるんですよね。ほかの出店者と交流もできて、輪が広がるというのは感じています。

大袋にはビジネスチャンスがある

ーー都内でも行列店を経験した柴﨑さんから見て、大袋はどんなところですか。

都内でもお店を経営して思うのは、大袋は若い人が初めて店を持つにはとても良いということです。なんといっても家賃が安い。この辺りは敷金1ヶ月と家を借りるくらいの感覚でいけるところもあるのですが、白山だと10ヶ月分くらい必要でした。

ーー越谷というエリアが安いということでしょうか。

もちろん都内と比べれば越谷は安いんですけど、大袋はその中でも極端に安いですね。となりの北越谷やせんげん台と比べても半分くらいじゃないかと思います。

初期投資が低くて済むなら、その分設備を充実させることもできます。何より参入しやすいですよね。だから若い人、初めての人には向いていると思うんです。

ーー参入コストが低くて済むところは人が少なかったり集客が難しかったりしませんか。

北越谷やせんげん台よりは集客が少し大変かもしれませんが、大袋も人は増えていると感じています。実際にお店にお客さんも来てくれていますしね。

手が回らないので白山ベーグルではできませんが、今はECもありますし。インスタグラムで商品を紹介するだけでも、その日のうちに数件注文もいただけています。やり方次第で集客も問題ないと思います。

 

経営者から職人へ。ひとつずつ丁寧に良い物を作っていきたい

ーー2号店やお店の拡張など、これからやってみたいことはありますか。

お店を出した頃はもう1,2店舗と思ったこともありましたけど、やっているうちに経営よりもベーグルを作るほうに夢中になってしまって。よりよいものをと思っているうちに、ほかの人には作れないものになっていきました。大量生産が難しくなってしまったんです。

ーーベーグルって繊細なんですね。

温度も水分量もシビアです。ほんの数滴の違いで変わってきますから。

今はひとつずつ、よいものを作っていければいいかなと。だから手を広げることは考えていなくて、このままがいいかなと思っているところです。

 

まとめ

お話を聞いている途中、元気な男の子を連れた親子のお客さんが店に入ってきた。「旨そうだなぁ。今度また来ようかなぁ。オレ、この店継ごうかなぁ!」とはしゃぐ男の子。お店にいたみんなが笑顔になった。

大袋の温かさとビジネスチャンス。またひとつ新しい大袋の姿を見ることができた。

店名:白山ベーグル

住所:越谷市袋山1418

営業時間:10時〜19時半(売切れ次第閉店)

定休日:水曜日、木曜日

TEL:048-976-2711

URL:http://hakusanbagel-k.com/

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