カップカレーで「越谷のストーリー」を“味わう”!KOSHIGAYAZINEがゴーストレストランで「K Curry Project」をスタートします

“日常に彩りを添えるお菓子を” SNSが広げた「haberu(ハベル)」のぬくもり

グレーの壁に明るい木色の扉。絵本やイラストに出てくるような愛らしい見た目のお店が、越谷駅から徒歩7分ほどにある「ケーキと焼菓子の店 haberu」だ。

2018年11月にオープンしたばかりの小さなお菓子屋さんには、オープン当日から多くのお客さんが殺到した。その理由は、コツコツと発信してきたInstagramにあったのだとか。

「予想以上」だと語る大繁盛のなか、寝る間も惜しんでお菓子作りに励む藤田希美さんと、姉で接客・SNSでの発信を担当する佐藤千秋さんに、定休日の時間をいただいてお話を伺った。

  藤田希美(ふじた のぞみ)

パティシエ歴13年目。「haberu」のオーナー・お菓子作り担当。

  佐藤千秋(さとう ちあき)

希美さんの姉。「haberu」の接客・Instagramでの発信担当。店名の由来を作った息子さんの母。

  聞き手 卯岡若菜(うおか わかな)

さいたま在住フリーライター。取材・インタビュー記事を執筆。子ども時代から県をまたぐ引っ越しを数回経験している。自分のなかに地元感覚があまりないからこそ、地元を愛する人たちの想いに触れることを好む。

「SNSってすごい」と実感した3時間超の大行列

――「haberu」さんを知ったのは、「※バズっていた」Twitterの投稿がきっかけでした。

こちらはお兄さん(現在、都内のIT企業の社長を務める藤田雄一郎さん)がツイートされたものなんですよね。※「バズる」とはFacebookやTwitterで特定の話題が拡散されること

希美さん:そうなんです。オープン初日の大行列の様子をツイートしたら、それがバズったらしくて。(※2019年1月30日現在、いいねは41,902件、リツイートは12,670件)

――ただ、Twitterでバズったからお客さんが来たのではなく、オープン初日にすでに多くのお客さんが来られていたわけですよね。

希美さん:そうですね。姉がInstagramでオープン前から発信しつづけていたのと、店舗前に置いていたチラシが功を奏したんだと思います。

千秋さん:チラシも結構もらってくれているなあと思っていました。

オープン初日に来てくださったお客さんは、Instagramで知ってくれた人とチラシで知ってくれた人が半々くらいだったのではないかなと感じています。

でも、Instagramのフォロワーはオープン時点でそれほど多かったわけではないんですよね。

希美さん:「100人超えた!」「200人超えた!わーい!」って喜んでいたくらいで(笑)Instagramのフォロワーは兄のツイートから一気に増えた感じです。

――オープン初日は、店の外まで大行列になったんですよね。写真で拝見した限りでも、とんでもない人数だなと思ったのですが。

希美さん:オープン30分前までは静かだったんですよ。それが、20分前ぐらいから並び始める方がいらして。「え、えっ?」って言っていたら、見る見るうちに大行列に。

千秋さん:1番多いときで70~80人くらいの方が並んでくださっていたと聞いています

私たちスタッフの不慣れやケーキの用意が間に合わないのもあって、最長で3時間近くお待たせしてしまったお客さんもいらっしゃったみたいです。

△行列の様子。藤田さんのお兄さんのTwitter投稿より

妹も私もてんやわんやで。手伝いに来てくれていた両親も手伝いどころか戦力でした。行列の誘導を父が担ってくれたのですが……お父さんいなかったらアウトだったよね。

希美さん:「(違う意味で)終わった……」ってなっていたと思う(笑)

見てのとおり、haberuは小さなお店なので、店内には3人ずつ入ってもらうようにして、ひとり5つまでと購入制限も設けさせてもらいました。

――お兄さんのツイートでは、スタートダッシュを決められた理由がSNSでの発信だということですが、意識されていたのでしょうか。

千秋さん:「写真のトーンを揃える」といった意識はしていましたが、マーケティングだとか、あまり難しいことは正直考えていませんでした。

もともとカフェ巡りが好きなので、「こんな風に撮るとかわいいよね!」と撮ったものを投稿していた感じで。

希美さん:バズったおかげか、まとめてくれた記事がネットに出たのですが、そこでも「マーケティングが~」「SNS運用が~」と書かれていて、「え、そこまで考えてない」みたいな(笑)

――Instagramでの発信が成功して、お兄さんのツイートがさらにバズり。ツイートがバズったことによる変化や効果は感じられましたか?

希美さん:遠方からわざわざ来てくださるお客さんが増えましたね。さらにお客さんが増えて、うれしい悲鳴です。

「これはダメだ」と思って、すぐにスタッフを募集しました。今は姉のほか、ふたりの女性が販売を手伝ってくれています。

千秋さん:忙しさに輪をかけてしまったことに責任を感じたのか、兄も店の手伝いに来てくれましたよ(笑)

店名「haberu」に込められた想いは、甥っ子の「はべる!」から

――お店の雰囲気にマッチしているなと感じるのが、店名の「haberu」です。サイトに書かれている由来もとても素敵で。

希美さん:「パティスリー●●」みたいな名前は違うよね、と姉と話していたんです。

私が開きたいお店のイメージは、素朴で家庭的な焼き菓子や洋菓子を出すお店だったので、店名も気取った感じではなく、あったかい雰囲気のものがいいなあと。

千秋さん:「ひらがなの名前にする?」と実家で相談しているとき、ふと母が「“はべる”ってかわいいよね」と言ったんです。

私には息子がいるんですが、「食べる」がうまく言えなくて、「はべる」って言っていたんですね。その母の言葉を聞いて、「“はべる”っていいんじゃない?」と。

希美さん:甥っ子は私のお菓子が大好きで、いつかはこの店を自分が継ぐと思っているくらいお菓子に興味津々なんです。

私が作ってきたお菓子やケーキを、「はべる!」とニコニコ笑顔で言ってくれる姿がうれしくて、かわいくて。

開きたいお店のイメージにもぴったりだなあと思って、「haberu」に決めました。

余談ですが、兄には「ストーリー性が大切だ」とアドバイスをもらっていたんですね。その点でも、「haberu」はぴったりだなと。

――本当に、名前に込められているエピソードが素敵だなと感じました。

希美さん:そう言っていただけてうれしいです。実は、周りからは賛否両論だったんですよね。

千秋さん:「可愛い!」って言ってくれる子もいたけど、「はべる……はべらせるの?」「古典?」って言われたりもしたよね(笑)

希美さん:アルファベットにしたからよかったのかもしれない。あと、このフォントと。

千秋さん:フォントはイメージに合うものをデザイナーさんに選んでもらいました。チラシもデザイナーさんにお願いしたんです。

希美さん:はじめは色鮮やかなケーキを載せようかとも考えたんですが、あえて素朴さを際立たせた方がイメージに合うということで、今の形に決まりました。

――店舗デザインもそうですが、「ブランド」としての軸が定まっているように感じます。そうした仕事、本当にご経験されていないのですよね?

ふたり:していないですね(笑)

希美さん:「こういう雰囲気、いいよね」っていう好みが姉と合致するんです。

店舗デザインはプロにも手伝ってもらっているんですが、理想のイメージは姉とブラッシュアップしていきました。義兄が設計士なので、困ったときには相談もさせてもらって。

ラッピングに使う資材であるとか、販売しているローソクであるとか、細かいところまで姉がこだわってくれているんです。

千秋さん:よくあるカラフルなローソクじゃなくて、もっとシンプルなローソクがほしいなあと思って。

もちろん、お子さま用にはカラフルなローソクも用意しているんですけど、大人はシックな方がかわいさを感じるんじゃないかなと思って、好みのものをセレクトしました。

希美さん:私のこだわりは、壁に飾ってあるイラストです。沖縄に住んでいるイラストレーターさんに依頼して描いてもらったんですが、「haberu」の文字が入っているんですよ。

――わあ、本当ですね。お店に合うなあと思っていたんですが、特別に描いていただいたんですね。

希美さん:この男の子ふたりは、甥っ子ふたりなんです。めちゃくちゃかわいいですよね。

千秋さん:かわいく描いてくださってうれしいです。

「自分のこだわりを具現化できるお店を」“haberu”は子どもの頃からの夢を詰めた場所

――haberuのオープンまでの経緯をお伺いしたいんですが、希美さんは越谷が地元なんですか?

希美さん:いえ、もとは松伏なんです。ただ、越谷・草加エリアに遊びに来ることが多くて。お店を開くならこのどちらかのエリアがいいなあと思っていました。

haberuを開く前は、個人店やホテルで12年間パティシエとして働いてきたんですが、30歳を区切りに「そろそろ自分の店を持ちたいな」と思い始めまして。

そこから、貯金をしつつ物件を探していて、ここに行きついたという流れです。

千秋さん:夏頃から店舗の準備を始めて、オープンまで本当にあわただしかったよね。

私は販売の手伝い程度のつもりだったのに、いつの間にかSNS担当みたいになっちゃった。

希美さん:ええっ、だってやる気じゃなかった?

千秋さん:え、違うよ(笑)売り子くらいなら協力できるなーって思ってただけだよ。

希美さん:そうだったの……(笑)これも兄からのアドバイスですけど、「SNSとサイトはちゃんとやったほうがいい」って言われてたんです。

だから、「私がFacebookやるから、お姉ちゃんはInstagramで」って。結果、Instagramは順調に更新されていき、Facebookは放置しぎみに……(笑)

千秋さん:お菓子を作るのでいっぱいいっぱいだもんね。土色の顔をした妹と朝に顔を合わせることもあるんです。

希美さん:手間がかかるお菓子だと、寝る時間がどうしても削られてしまって……。ストックしておける焼き菓子もストック分がなかなか作れずに、今はその日その日を必死にこなしています。

――1日はどういったタイムサイクルなんですか?

希美さん:そのときによって違いますが、大体6~7時には出勤して、11時のオープンに間に合うよう、お菓子の仕上げをします。そこからも作り続けて、3~4時には完売してしまい閉店。

ただ、そこからは次の日以降のお菓子を作るので、日付を超えるまで作り続けていることもあります。

もう少しゆとりを持ちたいなというのと、新作の開発にも時間を割きたい思いがあるので、泣く泣く定休日を増やすことにしました。

――でも、その休みも結局希美さんにとって休みでは……

千秋さん:ないですよね。

希美さん:忙しいのは事実ですが、ありがたいことです。

――やはり、子どもの頃の夢が「お菓子屋さん」だったのでしょうか。

希美さん:そうですね。小さい頃も思っていましたが、あらためて将来の夢として抱いたのは、中学2年生の頃です。

TVチャンピオンでパティシエ選手権を見たのがきっかけでした。

千秋さん:でも、小さい頃からお菓子作りが好きでしたよ。母がよく失敗作を食べさせられていました(笑)

あと、「この子変わってるなあ」と思ったのは、小学校2、3年生くらいの頃、紅茶を茶葉から淹れていたのを見たときですね。

希美さん:そんなことあったっけ(笑)

千秋さん:話しかけようとしたら、「今はダメ!」って。「紅茶の葉が踊っているところだから!」って叱られちゃいました。

茶葉のジャンピングを楽しそうに見つめる小学生って、変わってますよね。そういうこだわりがある子でしたね。

――千秋さんはお菓子作りに夢中になることはなかったんですか?

千秋さん:それが、全然なくて。ここが姉妹で全然似てないところなんですが、私は料理もお菓子作りも面倒くさいんですよ(笑)

ただ、ラッピングとか、裁縫とかは好きです。ケーキの飾りつけも好きですね。

――インテリアの好みは似ているのに、そこは違うんですね。

希美さん:似てないですねえ。

「はべる!」のあたたかさをhaberuのお菓子に宿したい

――幸先のいいスタートを切ったhaberuさんですが、お客さんからの評判はいかがですか?希美さんは製造にかかり切りかと思いますので、接客をされている千秋さんが感じていることでもいいのですが。

希美さん:あったかくてやさしいお客さんが多いなと感じています。

店の外にいると顔なじみのお客さんが話しかけてくださったり。毎日のように何かを買いに来てくださる方がいたり。

千秋さん:大混雑してバタバタしてしまったときも、皆さん暖かく見守ってくださるようにも待ってくださって。

オープンしたら2時間で売り切れてしまい、一度店を閉めて作り足して、また2時間だけオープンできたといった日もあったんです。

それでも「妹がひとりで作っている」ことを理解してくださいました。印象に強く残っているのは、やっぱり浅草からいらしたお客様ですね。

50代ぐらいの紳士的な男性の方だったんですが、「うちの息子も“はべる”って言っていたんです。懐かしくて」とおっしゃったのが印象的で。

――わあ、それは素敵なエピソードですね……!

千秋さん:そうなんです。成長された息子さんに、お菓子を持ち帰って話をしますっておっしゃってくださったのが、うれしかったですね。

息子さんが小さい頃のことを思い出してあたたかい気持ちになってくださったのなら、とてもうれしいことだなあと。

――今現在小さなお客さんも来られているんでしょうか。

千秋さん:親子連れのお客様も多いですよ。幼稚園や保育園帰りに立ち寄ってくださる方とか。

あと、haberuには大きな窓があるんですが、そこから中を覗いている子がいたりも。

「やさしい味がするね」「女性が作っているんだなあという味がするね」と言っていただくことが多いです。

――お母さんがお子さんに食べさせたくなるような味なのでしょうね。

希美さん:だといいなあと思います。素朴だけれどおいしいお菓子を作っていきたいと思っているので。

店のペース配分がつかめてきたら、小麦や卵を抜いたお菓子にも挑戦したいんです。

よくある「アレルギー対応のお菓子にしてはまあまあかな」ではなくて、アレルギーがない人も食べたくなるようなおいしいお菓子を作りたいと思っています。

――それはアレルギーの方がいるご家庭に喜ばれますね……!今はどういったお菓子が人気ですか?

希美さん:クッキーやマドレーヌ、タルトなどでしょうか。

今年から始めた「焼き菓子の日」には、できたてのマドレーヌやシフォンケーキ、パウンドケーキを並べるので、こちらもおすすめです。

千秋さん:個人的には、ショートケーキのスポンジが絶品だと思っています……!

希美さん:だそうです(笑)ぜひ召し上がっていただけたらうれしいです。

――アレルギー除去のお菓子のほか、今後考えていることはありますか?

希美さん:特別な日に食べるオリジナルケーキを作って、予約制で受け付けられるようになりたいなあと考えています。

あとは、越谷で開かれているイベントに出店して、地域貢献もできたらいいなあ。

千秋さん:越谷の方たちに受け入れてもらえているなあという感覚、すごいあるもんね。

貢献できる取り組みもしたいですね。

希美さん:以前の職場でハードモードつづきだったときには、この仕事を辞めたいとすら思ったことがあったんです。

でも、今は自分がこだわりたいところにこだわれて、納得のいく店づくりができる。

無理はしすぎず、実現したい店を目指してがんばっていきたいと思っています。

――くれぐれもお体だけは大事にしていただいて、これからもおいしいお菓子を作り続けてください。今度は営業日に買いに来ますね!

取材日は定休日だったにも関わらず、取材後にはクッキーを手渡してくれた希美さん。

ほろほろと口の中で砕ける食感と、程よいココアの甘みがおいしいクッキーだった。顔が思わずほころんでしまう。

そんなお菓子を食べたい方におすすめだ。なお、土日には夕方前の完売も見込まれるため、来店はお早めに。

ケーキと焼き菓子の店ーhaberu

住所:埼玉県越谷市赤山町1ー198ー1

営業時間:11:00ー19:00

定休日:火曜・水曜

URL:https://haberu-cake.amebaownd.com/

〈インタビュアー・文:卯岡若菜 / 企画・編集・撮影:青野祐治

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