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街がひとつの歌になる。全国から100組のアーティストが集う「越谷アサイラム」の正体

街がひとつの歌になる。全国から100組のアーティストが集う「越谷アサイラム」の正体

日々おもしろいことを探しながら歩いている僕が、街中であるポスターを目にした。

「越谷アサイラム」

得体の知れないロゴに聞いたことのない言葉、上記のロゴと名前でこれがどのようなイベントなのか想像できる人は少ないのではなかろうか。

越谷で何かおもしろいイベントが開催されることを察知した僕は、すぐにスマホで検索して正体を確かめてみた。

検索してみると「越谷アサイラム」とは4月20日(土)・21日(日)に越谷駅前で開催される音楽フェスでHPには以下のように書かれていた。

 

**************************

ASYLUMとは本来、

「よわきもののための聖域」を意味する言葉でした。

人々にとっての原点を確認するために、

いつまでも忘れないでいるために、

街の人と共につくる、年に一度の「祭り」が、

このフェスティバルです。(越谷アサイラムHPより抜粋)

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なるほど。さらにHPによると「アサイラム」という音楽フェス自体は、もともと2007年から沖縄の那覇市で毎年開催されるようになったという。

さらには東日本大震災を機に福島でも開催され、2016年から満を持して埼玉県越谷市で開催されるようなったのだ。しかも全国からおよそ100組のアーティストが越谷に集結するらしい。

ここで僕の中で小さな疑問が生まれる。

「どうして急に越谷で?」

好奇心を抑えることができなかった僕はイベントの主催者である「林さん」という方を紹介していただき、林さんが経営されている「音楽茶屋ごりごりハウス」というお店で取材することになった。

「初めまして、らぁめんです。」

――はじめまして。今日はよろしくお願いします。

はじめまして。「らぁめん」です。

――∑(゚Д゚)!なんで「らぁめん」なんですか?

昔ラーメンマンみたいな髪型してて、全然好きじゃなかったんですけど自分から名乗っちゃって、引くに引けなくなって今に至ります。

――お店の名前も「ごりごりハウス」で店内にもゴリラの置物がたくさんありますが、なんでこんなにゴリラを押しているんですか?

昔から好きではあったんですけど、これも引くに引けなくなっちゃって。まあゴリラは強いし優しいですからね。最強の動物ですよ。

――あの大きい金のゴリラはどこで手に入れたんですか?

レイクタウンです。本当は電球買いに行ったんですけど、あれ見た瞬間に電球忘れるぐらい欲しくなっちゃって、間違って買ってきちゃいました。

――∑(゚Д゚)!

事故をきっかけに越谷に帰還

――「音楽茶屋ごりごりハウス」はいつ開業したんですか?

今年の1月です。ずっと都内で職人をやりながら地元(越谷)の人たちとバンドをやってたんですけど、バイク事故で動けなくなっちゃって、それを機に越谷に帰ってきました。

その頃からよくEASYGOINGSっていう越谷のライブハウスを使わせてもらってたんですけど、そこの店長が辞めるタイミングで僕が引き継ぐことになったんです。

だから職人の後はライブハウスの店長をやってました。ライブハウスには結局11年間勤めて、それで独立して「音楽茶屋ごりごりハウス」を作りました。

――らぁめんさんは今も音楽活動をされているんですか?

5年前ぐらいから「東京ペッパーズ」っていうバンドをやってます。

その前もいろいろやってたんですけど、みんな子供が生まれたりして集まれなくなってしまったので、今は「東京ペッパーズ」がメインです。

――それ以外にどんな活動をされているんですか?

音宿ごりら屋」っていう音楽レーベルもやってます。あとはアサイラムをはじめとするイベント企画ですね。

全国の音楽とアートを越谷に集結、地域と連携した街フェス

――「越谷アサイラム」は、らぁめんさんが主催されているんですか?

隊長会っていう実行委員みたいなものがあるんです。

1年目は僕が一人隊長だったんですけどキツすぎて(笑)もうヤダってなってから信頼できる仲間を増やして隊長会を作ったんです。その隊長会が主に運営していて僕は総長になりました。

2年目以降、隊長が増えていって今は20人ぐらいになってます。

――そんなにたくさんいるんですね。

でも隊長会っていうのは音楽をやってる人で構成されているので、準備に追われて寝れない日々が続いてみんなゾンビみたいになってますね(笑)

当日は出演もするし、出番じゃないときは運営で動き回っているので、年々改良を重ねてイベント自体はどんどん良くなってます。

来場者数も年々増えているんですけど、それでもまだ知らない人はたくさんいるんですよね。

――もともと沖縄や福島で開催されていたものが、どうして急に越谷でやることになったんですか?

僕はただのファンだったんです。

ライブハウスで店長をやっていた時に、沖縄でアサイラムを開催するきっかけになったタテタカコさんっていうシンガーソングライターをよく呼んでいて仲良くさせてもらってたんですけど。

そこで福島のアサイラムを教えてもらったんです。それで最初に福島のアサイラムに行ったんですけど、そしたら元祖は沖縄だって知って、次の年は沖縄にも行きました。

――それは完全にファンですね(笑)

ライブハウスで活動し始めた15年ぐらい前からずっと越谷を盛り上げたいと思っていたので、タテさんに越谷でアサイラムをやりたいと伝えました。

沖縄や福島にはイベントをやる理由があるけど、越谷は何もないので悩みました。それで地域を巻き込む街フェスという形にして、越谷では「越谷の色」を出していこうと思ったんです。

――会場もたくさんありますね!

越谷駅の東口のライブハウスや屋外にもステージを作って合計12会場用意しています。

駅前の通りを通行止にして地域イベント「まるななマーケット」と同時開催にするのでいろんな人種が集まるイベントになっています。

――メインステージみたいなものはあるんですか?

全部メインステージだと思ってますけど、キャパ的に一番でかいのは「EASYGOINGS」ですね。

――それぞれのステージの名前もユニークですが、これも隊長会で決めたんですか?

ステージの名前は僕が勝手に決めました。ここブタでいいかぁとか(笑)

ここ(音楽茶屋ごりごりハウス)はもちろん「ごりらステージ」です。

――出演アーティストは全国から集めているんですか?

もちろん地元の人もいますけど、北は北海道から、南は沖縄まで、全国から良いと思ってる人たちを100組ぐらい集めています。タテさんも長野県から来てくれます。

――音楽の他にもアート作家の方も参加されているんですか?

そうですね。この絵も今回出てくれる「ツチヤヒトミ」ってアーティストが描いてくれたんです。ここにゴリラがいたりして(笑)

アートも絵を描く人がいたり、写真家、切り絵作家の方もいます。あと沖縄・福島のアサイラムでもロゴを書いてくれている紅型染の「乙黒信」さんっていう作家がいるんですけど、その人は4月17日〜23日の間「カフェ803」で個展もやるんです。(以下、個展の様子)

主催者のこだわりと越谷アサイラムの色

――越谷アサイラムの1番の見所はどこですか?

やっぱり音楽家もアートをする人も自信を持って集めているので、とことん癒されてほしいです。

あとは知ってほしいですよね。僕は頑固なので、これはずっとこだわってるところなんですけど、無名でもめちゃくちゃいいものがあるってことを知ってほしいです。

有名な人を呼べば動員とか見込めるんですけど、それよりも「こんなにいいアーティストがいるって知らなかったでしょ?」って言いたいんです。もう自慢ですよね(笑)

――でもそれが「越谷アサイラム」の特徴ということですね!

そうですね。もちろん有名なアーティストの人達もリスペクトしているんですけど、越谷で自分がイベントをするんだったらって話です。

でもこだわって集めたアーティストだけでお客さんが来てくれたら、やりがいもあるし燃えますよね。だからそこだけこだわっちゃってて、年々深くなってるんです(笑)

――ぜひそれはずっと貫いてほしいです!

外の人から見て「越谷おもしろいことやってるじゃん!」ってなるのが理想ですね。呼んでる人たちも、みんな媚びない人ばっかりだし、個性強いし。でも音楽もアートもみんな素晴らしいんですよ。

(以下、去年の越谷アサイラムの様子)

「越谷のいろんな人種が集まって力を合わせるお祭りがしたい」

――今後も越谷アサイラムはずっと続けていきたいですか?

まあ色々思うところはあるんですけど、続けられるに越したことはないと思うんですよね。

ただこれは僕だけが続けたくても続けられることじゃないんです。みんな仕事しながらボランティアでやってくれてるので、気持ちがなかったら本当にできないと思います。

だからたくさんの人にこのイベントを知ってもらいたいです。

――今後越谷でやってみたいことはありますか?

アサイラムもやりたいですし、音楽だけじゃなくてみんなで踊ったり、御輿を担いだり、落語やってる小屋があったり、なぜか相撲とってる人がいたり、ゴリラの銅像作って置いてる人がいたり(笑)

越谷のいろんな人種が集まって力を合わせられるお祭りがしたいですね。みんな自分ができることをやればいいんです。

みんな得意なことは違うし、知らないことも多いので、そういうことを共有しながら一つの祭りが作れたら最高に楽しいですよね。なんのしがらみもなく、わけわかんないけどみんなハッピーみたいな(笑)

――ぜひ実現させてもらいたいです!今日はありがとうございました。

締め

今回の取材で僕はまた新しい越谷の一面を垣間見た気がした。

普段別の仕事で一生懸命働き、帰ってきてからの時間や休日を使って、こんな熱量の集合体のようなイベントを開催している人たちが越谷にいることを初めて知ったからだ。それも4年続けて。

今年に至っては出演者だけで全国から100組を超えるアーティストの人たちが越谷に駆けつけるのだ。越谷と全国各地が繋がっている気がして、なんだかとても嬉しくなった。

――最後に、らぁめんさんの写真何枚か撮ってもいいですか?

らぁめんさん:いいですよ。

このイベント、楽しそう。

■イベント概要

「越谷アサイラム」

4月20日(土)・21日(日)

2日通し券:6000円

1日券:3500円(当日券:4000円)

1日学割券:2000円

※別途当日リストバンド交換時にマルチチケット600円の購入が必要

 

[チケット購入方法]

・イープラス、ローソンLコード:71219 ・ぴあPコード:139752  ・Peatix

・音楽茶屋ごりごりハウス 048-971-6728、koshigaya.asylum@gmail.com

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