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“ベッドタウン”から“ミドルシティ”へ。「まちライブラリー」で編集長・青野が語った「ローカルメディアからの脱却」とは

“ベッドタウン”から“ミドルシティ”へ。「まちライブラリー」で編集長・青野が語った「ローカルメディアからの脱却」とは

2019年4月16日(火)、北越谷駅徒歩すぐにある藤田歯科医院で「まちライブラリー」のイベントが開催された。

第40回を迎えた今回は、KOSHIGAYAZINEの編集長・青野祐治が登壇。

KOSHIGAYAZINE立ち上げの背景から、越谷の魅力や可能性についてたっぷりと語った。

「まちライブラリー」とは

まちライブラリーとは、地域の店舗や住宅の一角を図書館にすることで、地域の人たちと関われる機会を作る取り組みだ。

まちライブラリーHPより引用

各まちライブラリーでは、独自のイベントも開催。

今回イベントを開催した藤田歯科医院では、本を媒介にして人と出会うイベントを継続して行なってきた。

好きな本を一冊持ち寄って参加するのがこのイベントの特徴だ。

司会者と登壇者の簡単な自己紹介のあと、持参した本の紹介と合わせ、グループごとに自己紹介を行なう。

小説やビジネス本、エッセイなど、本のジャンルも多種多様。

まちライブラリーに持参した本を寄贈して「旅をさせる」こともできる。

持ち寄られた本により、まちライブラリーが充実する仕組みだ。

KOSHIGAYAZINE編集長的、「越谷の魅力とこの街の可能性」

自己紹介がひとしきり盛り上がったあと、いよいよメインタイムに入る。

テーマは「KOSHIGAYAZINE編集長的、越谷の魅力とこの街の可能性」

「ラジオを聴くような感覚で、飲んだり食べたりしながらお聞きいただければ」と伝え、和やかな雰囲気で本題に入る。

話はまず、青野の自己紹介からスタート。

1987年に越谷で生まれ、今は同じ越谷出身の妻と越谷で暮らしていることが語られる。

もともと越谷が好きではなかった青野が、なぜKOSHIGAYAZINEを立ち上げるに至ったのか。

それについては、KOSHIGAYAZINEのインタビュー記事で詳しく語られているため、そちらを見てほしい。

リンク:「越谷のムードメーカーになりたい」KOSHIGAYAZINE編集長が語る、“ローカルメディアをはじめた理由”と “僕が考えるこの街の未来”

KOSHIGAYAZINEをはじめて知った「ローカルメディア」の価値

続いては、KOSHIGAYAZINE立ち上げ後に感じた変化に話が及ぶ。契機となったのは「はかり屋」で店を営む「つると」への取材記事だ。

リンク:“伝統×クリエイティブ=次世代に伝えたい和の世界” 越谷の古民家で活動するクリエイターの想い

他県から足を運ぶ人が現れたり、想いに共感して一緒に働きたいと行動を起こした人がいたり。

「発信することで、人は動く」と認識するきっかけになったという。

次いで、Twitterのバズをきっかけに取材を打診した「haberu」。

こちらも、記事をきっかけにコラボ企画が持ち上がるなど、メディア・店の双方に変化が生まれた。

リンク:“日常に彩りを添えるお菓子を” SNSが広げた「haberu」のぬくもり

地域ブログではなく、あえて地域メディアとしてKOSHIGAYAZINEを立ち上げた理由は何か。

青野は「いい意味での“共犯者”を増やすことで“越谷の関係人口”を増やしたかったから」だと語る。

事実、つるとやhaberuをはじめ、KOSHIGAYAZINEが本格始動してから生まれた繋がりは多い。

メディアを運営することで、私生活のなかでもアンテナが張るようになり、新たな出会いや気づきを得る好循環が生まれている。

新しい居場所とコミュニティが増え、「何もない街」から「この街はコンテンツの宝庫だ」と思うまでに至った。

「ベッドタウン」から、「ミドルシティ」へ

越谷は東京のベッドタウンだといわれる。

しかし、この「ベッドタウン」にあまりいい印象を抱かないという青野は、新しい名称として「ミドルシティ」を提案する。

都会ではなく、ど田舎でもない場所。つまり、「ちょうどいい街」

これは、青野のインタビューでも語られていたキーワードだ。

掘り起こせば掘り起こすほど、魅力が再発見できる。ただ、これまでは先陣を切って発信する人がいなかった。

越谷は「いい意味で手垢がついていない、未開のベッドタウン」(青野)。

自分たち次第で、まだまだいくらでも可能性を広げられる街なのだ。

KOSHIGAYAZINEのこれから

最後に語られたのは、KOSHIGAYAZINEの今後だ。

青野は「メディアに留まらず、活動の場を広げていきたい」と語る。

デザインで街を盛り上げた福井県鯖江市を例に、「越谷っぽくないね」といわれる街にデザインしていきたいという。

すでにKOSHIGAYAZINEでは、オンライン上のメディアとは別に、オフラインでのイベントを企画開催しはじめている。

朝早くに集まって写真を撮りながら人との交流を楽しむ「越谷フォトウォーク」。

ゲストを呼び「つると」のふたりを交えながらトークセッションを行う「越谷ミライトーク」をはじめとした「KOSHIGAYA HAYAOKIプロジェクト」。

ほかにも、はかり屋を舞台に人が交わる機会を考案中だ。

リンク:あさ散歩する、写真を撮る、早起きが好きになる。第1KOSHIGAYA PHOTO WALKイベントレポート

旧日光街道があり、越谷レイクタウンがある越谷。

「古くて新しい」を受け入れる越谷の器を、メディア運営をするなかで体感していると青野は語る。

新元号「令和」にちなみ、「第二の新しい越谷はまだ“0話”」だと洒落を交え、メイントークは締めとなった。

「自己表現が苦手説」はウソ? 熱く盛り上がった意見交換

メイントーク終了後は、質疑応答も含め、参加者の意見交換が行われた。

「はかり屋」立ち上げ人のひとりであり、KOSHIGAYAZINEでもインタビューを行った畔上順平さんは、「若い世代が越谷を発信するようになってくれてうれしい」。

「自分が若い頃は、越谷についての想いを口に出すと浮いてしまう状態だった。一世代下に移ることで、ようやく時代が追い付いてきたのかもしれない」と発言。

20、30代が中心に活動するKOSHIGAYAZINEに期待を寄せた。

「越谷に住むと、どのようなライフスタイルが実現できるのか。

越谷に住む人が求めているものは何なのかを発信することは、街の政治を動かすムーブメントにもなりえるのでは」との意見も。

青野自身が「半越、半渋(※)」のライフスタイルを送る今時の働き方をするひとり。

政治的な要素に直接切り込まない形で、どう街づくりへ関わるのかを考えるきっかけになる視点だった。

(※週の半分を越谷、半分を渋谷で仕事をする青野のワークスタイルを表した造語)

「越谷に移り住んできた大人ではなく、生まれ育つ子どもにフォーカスしてみては。もっと尖らせるのもありだと思う」

「越谷の歴史を学べるような、語り部によるお話会が企画出来たらおもしろい」とKOSHIGAYAZINEへの要望も寄せられた。

また、スポットや名産品だけではなく、「人も隠れている」との意見も。

商店街で店を始めた方からは「長年店を営んでいるにも関わらず、多くの人に知られていないお店を知ってもらう活動から始めている」との話が寄せられた。

既存商店街の話は、昨年新しくできた越谷駅西口商店街の話にも発展。

これまであった300店舗中、100店舗が商店街に参加したとの話に、「そもそも西口エリアに300も店があったのか」と驚きの声が上がった。

地域ローカルラジオ「ハローハッピーこしがやエフエム」でパーソナリティーを務めるもんやようこさんからは、「その地に住んでいない立場だからこそ見えてくる魅力」についての話が出た。

外野の人間だからこそできることがある。そして、「越谷は何かを受け入れたり手渡したりする懐の深さがある土地柄」だという畔上さんの意見に、参加者は笑いを交えながら納得している様子だった。

「まちライブラリー」の発起人であり、藤田歯科医院でのイベントに毎回参加しているという礒井純充さんは、「自分のためにやり始める活動」の持つ可能性の大きさについて語った。

「この街を変えるために」と大きなくくりで考えるのではなく、「自分が心地よく暮らすために」「自分の子どものために」をスタート地点にした取り組みが、結果的に大きく花開き街の発展に繋がることが見受けられるのだという。

「街づくりを、と考えるのは男性性が多く、身近なものを何とかしたい、と考えるのは女性性が多い印象があります。今回のイベントの参加者は男女が同比率で、よさを感じました」と語った。

主催者の藤田融さんは、「イベントを開催するようになり、越谷の知り合いが増えた」と語る。

「本業の歯科医は、患者さんに適した治療法を提案するためにもバックボーンを知ることが大切。そのなかで、越谷にはスキルを持っている人がたくさんいることがわかってきました。

地場で何かをやろうと思ったとき、実現できるスキルを持った人を探せるのがベッドタウンのよさだと感じています。イベントは今後も続けていくので、ぜひ参加してもらえたら」(藤田さん)

「越谷人は自己PRが苦手」とは思えない熱量が満ちたまま、イベントは終了。各自名刺交換をして解散となった。

「ミドルシティ越谷」へ。“新しい時代のベッドタウン”の形をつくる新たな歩み

別々の場所で行われていた活動や取り組みが、メディアでの発信により連動し発展する。

発展した結果、まちライブラリーのようなイベントがより盛り上がり、イベントを介して人が出会うことで、街づくりの波は大きくうねりを見せていくのだろう。

ひとりでは波は起こせない。しかし、波紋をはじめに作る「ひとり」には誰しもがなれるのだ。

参加者からも好評を得た「ミドルシティ・越谷」。

KOSHIGAYAZINEは、「発信」と「創生」の両輪を回しながら、令和時代を迎える“新しい”越谷に貢献し続ける。

〈取材・文・撮影卯岡若菜 

このイベントの模様を今回のお話の中で「越谷のイケてる若者」としてご紹介させていただいた、

モリさん(@feeling052)にイケてるブランディング動画をつくっていただきました!

モリさん、本当にありがとうございます!

このイベントの模様は「KOSHIGAYAZINE」youtubeチャンネルで全編公開中です!

引き続き、KOSHIGAYAZINEも応援よろしくお願いいたします!

KOSHIGAYAZINE へんしゅうちょー

青野 祐治

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