【越谷アルファーズ】実は“バスケ大国” !? 越谷にプロバスケットボールチームが爆誕。B2へ昇格した「越谷アルファーズ」が見つめる先

香取神社が越谷で愛される理由―時代に合わせて ”人が来る” 場所に

初詣や安産祈願で賑わう大沢の「香取神社」。

北越谷駅から徒歩3分。厳かな本殿に遊具やベンチの置かれた境内は地元の人たちに親しまれるスポットです。

「ママのためのカメラレッスン」や「ままマルシェ」など「神社っぽくない」イベントを多く開催する香取神社。禰宜(ねぎ)を務める小林さんにバラエティに富んだイベントを開催する理由や神社のあり方についてうかがいました。

お母さんたちに息抜きの場所を

― まずはここ大沢の香取神社について教えてください

香取神社の元は千葉にある香取神宮です。そこから鷺後の香取神社に神様を分ける、いわゆる御分霊をされ、そこからさらに日光街道の宿場町となったここ大沢に御分霊されたという経緯があります。150年前に完成した本殿の彫刻は越谷市の指定文化財になっています。拝殿は昭和64年に改築されたのできれいに見えるかもしれませんが、神社の歴史は400年と長いんですよ。

香取神宮はもともと経津主大神(ふつぬしのおおかみ)という武勇の神様をお祀りしており、勝負ごとの後利益があります。昔でいえば戦、現代では受験やスポーツといったものですね。ここ香取神社ではほかに木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)もお祀りしているため、子授かりや安産のご利益もあります

― 香取神社でママ向けイベントが多いのはそういうわけなのですね

ご祭神のご縁はありますね。それから安産祈願で来るお母さんたちへお参りのついでに何かできないかと思ったこともきっかけです。最初はマタニティヨガ、次にベビーマッサージと少しずつ開催するものを増やしていきました。



まずは気軽に来てもらいたいので、開催してくださる先生方にはできるだけ安く設定していただいています。毎月第三金曜に開催している「ままマルシェ」もお母さんたちに来てもらいたいという思いからです。開催時間は10時から14時。お子さんを幼稚園などに送ってから来ていただける時間かと思います。ままマルシェに出店するのは飲食店、マッサージ、ネイル、占い、保険、保育園の先生に心配事を相談できるブースなどバラエティ豊かです。お母さんたちの息抜きや情報収集の場になっているのではないでしょうか。

― 私もままマルシェに行ったことがありますが、お子さん連れのかたも多いですよね

ままマルシェでは、時間は決めていますが託児スペースも設けています。見てくれるのはブースで手の空いている保育園の先生やボランティアで来てくれる文教大学のかたなどです。マッサージを受けたりトイレに行ったりする間に子供を見てもらえるのがありがたい、という声をいただいています。お母さんたちにゆっくり楽しんでもらえているならうれしいですね。

年中来てもらえる場所でありたい

― これからやってみたいイベントはありますか

ままマルシェがあるなら「ぱぱマルシェ」もあって良いのでは、と思っています。子育て中のパパだって大変ですよね。そんなパパたちに楽しんでもらえることができれば良いなと。

あとは朝市の開催でしょうか。まずは神社から始めて、ゆくゆくは勝浦の朝市のように地域に広がったらいいなあと思います。近くの細道も巻きこんで開催できれば、地元の商店も活気づくのではないでしょうか。地元でとれたものだけでなく、パン、コーヒー、ジュースなどもあると楽しいですよね。このあたりのママさんは個人で活動しているかたも多いので、声をかければ出店してもらえるのではないかと考えています。

イベントではありませんが、境内のフォトスポットも充実させたいです。今は風車やちょうちんなどを置きました。お宮参りや七五三、御朱印めぐりのときに写真を撮って帰れるようにしたいんです。とくに神社との接点が少ない若いかたに来てほしいので、撮った写真をSNSに上げてもらえたらうれしいですね。

神社はいろいろなことができる場所。特別な日だけでなく、一年中気軽に来られる場所でありたいです。



子供が遊べるのが神社本来の姿

― 神社はしっかりした心もちで来るべき場所というイメージがありましたが……

私が思う神社というのは境内で子供が走り回って遊ぶところです。イベントでふらっと神社に来れば、普段の何でもない日にも寄りやすくなりませんか。子供連れで来ていただければ、その子供にとっても神社が身近な場所になるんじゃないかなと。

私も昔は神社で鬼ごっこや缶蹴りをしましたが、今では神社でそういう光景が見られなくなっています。ゲームなど家でできることが増えたからというのもあるかもしれません。でも、できるだけ子供には外で元気いっぱい遊んでほしいと思ってしまいます。親が神社に親しんでいれば子供も神社で遊ぶことが普通になるでしょう。学校や公園と同じ感覚で、神社が子供たちの遊ぶ場所として選択肢に上がってくれたらうれしいですね。

― ママだけでなく子供たちにも広く親しんでもらいたいということなのですね

そうですね。若い世代に親しまれる存在でありたいと思います。目的はそこで開催されるイベントだとしても、神社に来ればついでにお参りをしますよね。そうすれば信仰心もつくし人がいることで神社の雰囲気も良くなります。人のいない神社は荒れやすいですから。

神社に活気があれば地域の雰囲気も良くなるでしょう。そのために、私はいろいろなイベントのお話を積極的に受けるようにしています。交流会やボーイスカウトのもちつき、それからパン作りなんてお話もありました。

パン作りは自宅で開催するかたが多いのですが、神社だと雰囲気が良く人も集まりやすいうえ、少しなら駐車場を使っていただくこともできます。神社でパン作りなんてミスマッチに思われるかもしれませんが、神社でパン作りというのは意外とメリットが多いみたいです。

― マルシェにフォトスポットにパン作り。神社のイメージからは遠い試みが多いですね

うちが特殊なんでしょうね(笑)

神社は伝統を守るべきで神聖な場を穢すべきではない、という考えもあるでしょう。もちろん私もそうは思っていますが、一方で時代の変化に合わせてやっていかないとダメだとも思っています。守るところは守り、変えるところは変える。うまくバランスを調整してやっていかないと、神社自体がなくなってしまう可能性もあるのではないでしょうか。結局神社というものは人が来なければ始まらないのですから。

大事なのは姿かたちではなく神への信仰心

― 時代の変化に合わせる神社というのはなかなか珍しい気がします

時代に合わせるといってもお祭りや行事はやめません。これらはくり返すことに意味があるものですから、これからも続けていきます。ただ、お祭りを増やすことはあります。

たとえば子供を対象にした七夕祭りですね。流しそうめんや射的、工作など子供たちに楽しんでもらえるお祭りにしています。それから十五夜のお月見祭(観月祭)。雅楽や薩摩琵琶の演奏のほか、中華獅子舞、フラダンス、ピアノなどもやってきました。

― 神社のお祭りで中華獅子舞とフラダンスですか!?

まずほかの神社ではやらないでしょうね(笑)

中華獅子舞は中華街のかたにオファーしたのですが、先方もおどろかれたと思います。神社に呼ばれたのは初めてだと言っていましたし。昔なら神社で舞うなんてありえないと断られたかもしれません。このときは相手が若いかただったこともあり、こちらの提案に興味を持ち、新しいことをやってみたいという共通の思いがあって実現しました。

ミスマッチと思われるでしょうが、日本の獅子舞も中華獅子舞も元をたどれば同じなのではないかと思っています。まったく違うように見えて共通する部分が多いな、と。どちらも神に奉納する舞ですからね。そういう観点で言えばフラダンスも神に捧げる神聖なダンスなので共通します。姿形や音楽、祈る相手は違えど根っこの部分は同じということです。

― かなり思い切った組み合わせだと思います。周りの反応はどうでしたか?

賛否両論、だったと思います。

去年はハロウィンで提灯をぶら下げて、来てくれた人にお菓子を上げるイベントをしました。ハロウィンは収穫祭としての側面が強く、食べ物に感謝するお祭りです。神や神社も農業から生まれました。日本人は昔から収穫や食べ物に感謝する気持ちが強く、そういった共通点から神社でハロウィンという思い切った決断をしました。

若い世代からはポジティブな反応をいただけましたが、SNSではネガティブなコメントも見られました。でも私はおもしろそうなことは取り入れていきたいんです。目に見える部分が違っても意味合いや方向性はずらさない。崩してはいけない部分と崩していい部分を考え、神への信仰心が根底にあれば良いのではないかと思っています

日本の神社、そして日本人には柔軟性があります。八百万の神と言われるようにすべてが神様という考えで、キリスト教など別の宗教の神も受け入れられるのですから。そういう見方ができるのが神社、日本人のいいところではないでしょうか。

時代の変化に対応し人々のよりどころとなれるように

― 神社っぽくないことにもあえてチャレンジする理由を一言で表すなら何でしょうか

時代の変化に対応するため、ですね。

今はSNS全盛期で、話題性や情報発信がなければ人は来てくれません。年齢を重ねれば信仰心は自然と身についてくるものですが、若いうちは敬遠してしまうことも多いでしょう。そういった人に信仰心をつけてもらったり身近な存在となったりできることが目標です。これからも神社っぽいかどうかにかかわらず、さまざまなイベントを積極的にやっていきたいですね。

― さいごに、地域の方々にメッセージをお願いします

神社は心安らぐ場所、そして地域のよりどころであるべきだと思います。友達と待ち合わせて遊ぶ場所、ベンチでお弁当を食べる場所、ジュースでも飲みながらワイワイ話せる場所……そんな場所になりたいです。イベントはもちろん、普段から気軽に足を運んでみてもらえたらうれしいです。

◆ 香取神社
1394 ~ 1428年: 創建
1624 ~ 1644年: 現在の地(大沢)に移築
市指定文化財
URL:https://katorijinja.com/

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です