想いを共有し、個を活かす。空き家をリノベーションした写真館「写LULU」が切り取るのは、家族の歴史の1ページ
その道のプロだから、すべてがわかるわけではない。
視点が異なれば見えるものは変わる。自分が顧客側の立場だからこそ、真に求められているものがわかることもあるのだ。
東越谷の住宅街に、目を惹く黄色い外観の住宅がある。空き家を改装し、アットホームな雰囲気の写真館として今年でオープン5周年を迎えた「写LULU」だ。
社長の金澤茂さんはカメラマンではない。カメラを趣味とするわけでもない、本人曰く「無知な素人」だ。
そんな金澤さんが、なぜ「写LULU」をオープンすることになったのか。カメラマンの上野杏さんと西田晃子さん、取材日が入社2日目だった新人カメラマンの島村陸さんの四人に話をうかがった。
本記事は、写LULU社のスポンサードコンテンツとしてお届けいたします。
きっかけは「孫の七五三」。持ち前の行動力が作った「写LULU」
――明るい雰囲気のスタジオですね。
金澤茂さん(以下、金澤):ありがとうございます。「写LULU」では、自然光で撮影する写真にこだわっているんです。
――自宅のような雰囲気で撮影できる写真館をオープンさせたのは、金澤さんご自身の理想だったのでしょうか。
金澤:ええ、とはいっても、カメラマンとしての理想ではありません。私は写真はやらない人間なので。
――え、写真業界の方ではないんですね。
金澤:そうです。きっかけは、孫の誕生でした。
七五三を前にして、スタジオ写真館で撮るような写真で記念写真を残したくないなあと思ったんですね。
――固定されたカメラで、フラッシュを焚いて、こう、バシャッと。
金澤:なんだか子どもの表情も硬くなっちゃってね。
そういう写真ではなくて、もっと柔らかく自然な表情を切り取った写真を残してやりたいと思ったんです。
――では、本業は写真とは別のものだったんですね。
金澤:本業はカラオケ関係です。
卸を長年やっていまして、10年ほど前からは北越谷で「カラオケボックスきたこし館」の営業を行っています。
――カラオケと写真。「写LULU」立ち上げの話を聞いて、ご家族は驚かれたでしょうね。
金澤:驚いたかもしれませんが、「またか」という気持ちもあったのではないかと思います。
2~3年でやめてしまいましたが、ラーメン屋をやっていたこともあったので。
――え、またそれは全然違う職種ですね。
金澤:ラーメンが好きで、やってみたいなと思いまして。
何でしょう、いろいろやってみたくなる性分なんだろうと思います。
――「こういう写真を残したい」という想いがあると、多くの人は「イメージに合う写真を撮ってもらえる写真館を探そう」となると思うんですが、金澤さんはご自分で写真館を作ってしまったんですね。
金澤:やってみたくなっちゃったんですねえ(笑)
――この地にオープンすることになった理由は何でしょうか。
金澤:付き合いのある不動産屋さんからの紹介です。
通常、借家の場合は返す際に原状回復をしなければなりませんが、ここは家主さんから「好きに変えてくれて構わない。戻す必要もない」と言っていただけていまして、願ったり叶ったりだったんです。
――住宅街のなかにあるため、偶然知ることは少ないのかなと感じます。
金澤:そうですね。多くの方がホームページを検索して訪れてくださっています。
上野杏さん(以下、上野):「越谷 写真館」で検索すると、割と上位に出てくるんです。
想いを共有し、今ここに集う。三人三様の“写LULUとの出会い”
――ご自身がカメラの知識がないなか、大変なのはカメラマンの採用だったのではないかと思います。
金澤:「写真さえ撮れればいい」写真館を作りたかったわけではありませんからね。
――今回はカメラマンの3人にも同席いただいていますが、1番歴が長いのは…
上野:私です。ただ、私も開店当初からいたわけではありません。
――上野さんは、どのような経緯で写LULUのカメラマンになったのでしょうか。
上野:友人の父と社長が知り合いだったのがきっかけです。
私は芸大を出てカメラアシスタントとして働いていたんですが、仕事は物撮りが中心で。
人を撮りたくてカメラを始めたのに、という想いがあったんです。
そんなとき、実家が川崎の友人から「お父さんの知り合いに、こんな変なことをしている人がいるよ」と教えてもらったのが、社長と写LULUでした。
金澤:変なことかあ(笑)
そのとき、ちょうど私は東浦和に2号店を出そうかというタイミングでした。
その話を知った友人に、「自分もやってみたい」と相談を受けていたんです。上野は、その川崎の店のカメラマンとして、写LULUで半年ほど修行をしました。
結局、東浦和の2号店は閉めてしまい、上野が勤めていた川崎の店もやめることになってしまったんですが。
――はじめから写LULUのカメラマンとしての採用ではなかったんですね。
上野:そうです。
川崎で働き始めてから心底実感したのは、自分が何もしなくても予約が入り、仕事があるありがたみでした。
写LULUは、当時すでに予約が継続して入る状況にあったので。集客の難しさをひしひしと感じましたね。
――東浦和に開いた2号店の閉店理由、お聞きしても大丈夫ですか。
金澤:順番を間違えてしまったんです。
最初、ここに写LULUを開いたときには、「こういう写真館を開きたい」というイメージや想いがありました。
結果、ここは軌道に乗ります。そのタイミングで、たまたま「ここにいい物件があるよ」と情報を得た。
「よし、やろう!」とハコありきで即決してしまったんですね。
東浦和店を任せているカメラマンと写LULUの目指したいイメージとに、ズレが生じてしまいました。
同じ店舗であればズレをすり合わせられますが、私は越谷、向こうは東浦和です。
お客様には予約をいただけていましたが、ズレたままやっていくのは本意ではないなと。
カメラマンも違和感があったようで、閉じようということになりました。
――上野さんは、川崎の店が閉じてから、写LULUに。
上野:はい。
金澤:ええ、おかえり、と(笑)
――西田さんは、なぜ写LULUに勤めることになったのでしょうか。
西田晃子さん(以下、西田):私は、社長が記念写真を残したくないと思った大手写真スタジオでカメラマンを5年間やっていたんです。
社長が話していたように、型にはまった写真を、バシャッと。そうした写真がいいお客様にはいいんですが、私には「何か違うな」と違和感があって。
そんなとき、自然光撮影にこだわっている写LULUを知りました。
――転職された感想はいかがでしょうか。
西田:いいですね…!やっぱり、自然光だからこその柔らかさが表現できるなと感じています。
あとは、アットホームな写真館だからこそのリラックスした雰囲気も魅力だと思っています。
スタジオ写真館は、同じ時間帯に来られるお客様が多いので、どこか忙しさもあるんです。
なかなか笑顔が出ないお子さんを前にしていると、「すみません、すみません」と親御さんが謝られてしまうこともあって。
――大手写真館はショッピングモールでもよく見かけます。モール内店舗では、外を行き交う他のお客さんも多いので、落ち着かなさがあるかもしれませんね。
西田:そうなんです。写LULUでは、前職ではできなかったことが実現できているなと感じています。
上野:お子さんへの向き合い方が、すごい上手いんですよ。西田さん、元ディスニーキャストなので。
――ディスニーキャスト!
西田:そうなんです(笑)えー、最近はそんなに出てないと思うんですけど…。
上野:出てるよ。夢の国感が出てる。
――活かされているわけですね。
西田:活かせているな、とは思います。
そもそも、写真の世界に入ったきっかけがディズニーキャストなんです。
子どもと触れ合う機会が多いポジションだったので、いいなあと。ちょうど趣味でカメラを始めたこともあり、前職に転職しました。
――カメラマンは、専門学校や大学で学ばずに飛び込める仕事でもあるんですね。そして、入社2日目の島村さん、まだ緊張されている時期だと思います。島村さんの入社のきっかけは何だったのでしょうか。
島村:僕も西田さんと同じで、カメラを専門に学んだわけではない人間です。
カメラを始めたのは大学に入ってから。人を中心に撮るようになったのは、1年ほど前です。
就活が始まって、どうしようかなと迷っていたんですが、最初はカメラ業界は見ていなくて。
みんなの就活が終わる頃に、「やっぱり写真に携わりたい!」と決意をし、そこから一気に採用試験を受けました。4社くらい受けましたね。
――写LULUに決めた理由は何でしょうか。
島村:拾ってくれたというところもあるんですけど(笑)
自然光で撮影したいと思っていたのも理由のひとつです。写真の雰囲気がとてもいいので。
――趣味で撮られているときも、自然光で撮影されていたんですか。
島村:いとこの子を撮影したりしていましたね。
あとは、東武動物公園の撮影スタッフのアルバイトもしていました。
――まだ入られて2日目ですが、写LULUの印象はいかがでしょうか。
島村:本当にまだまだ何もできないので、早く仕事を覚えたいと思っています。
上野:西田さんが教育係なんですが、さっそくしごかれているみたいです。西田さん、スポ根タイプなので。
島村:しごかれています(笑)
島村:おかしい…。まだ全然本領発揮していないのに…(笑)
金澤:(笑)
――金澤さんが笑顔で見守っている雰囲気が、お父さんのようですね。
金澤:私は基本的に何も口を出さないので(笑)
出すのは顧客目線で違和感があったときくらいですねえ。写真技術に関してはわからないので。
上野:「それ、違います」ってストレートに言いますからね。
金澤:言われています(笑)
カメラマンは、幸せを相互に与えられる職業
――写LULUで撮影をしているなかで、印象的だった出来事はありますか?
上野:撮影後、スライドショーで撮影した写真を見ていただく時間があるんですが、思わず泣いてしまうお母さんがいらっしゃることが毎回強く印象に残っていますね。
そこまで心を動かすことができる仕事をしているんだ、とあらためて実感します。
西田:継続して写真撮影に訪れてくださる方が多いんです。
私はまだ入って1年と少しですが、その期間内でも再度訪れてくださった方がいるんですね。
「うわー、大きくなったねえ!」と成長を感じられるのがうれしいです。年齢によっては、お子さんが覚えていてくれることもあって。
上野:8回撮影に訪れてくださっているお客様もいます。
私たちが撮る写真で、お客様が幸せな気持ちになって、そんなお客様の姿から、また私たちが幸せをもらう。
相互に幸せを与えられる、素晴らしい仕事だなと思っていますね。
金澤:私は本当に親感覚なので。
写LULUの想いがベースにあれば、あとは好きにしてもらっていいと思っています。
予算など、経営面について考えるのは私の仕事ですが、相談や報告さえしてもらえれば大丈夫ですから。
上野:社長に話すときは、横文字をあまり使わないようにしています(笑)あとは結構ガンガン話していますね。
金澤:横文字はわからないからね(笑)
「写LULUの想い」を共にする人を増やし、2号店の再オープンを目指したい
――今後、写LULUが目指していることを教えてください。
上野:「越谷の写真館といえば写LULU」といわれるくらい、もっと認知度を上げていきたいです。
そのために、今いろいろ計画中なんだよね。
西田:私はSNSの発信を担っています。
上野:がんばってくれているんです。
私は、写LULUに合う最新トレンドや海外の流行情報を見つけてくることに力を注いでいます。
跳ねる何かを見つけたくて、今も案があります。ネット廃人なんです(笑)
5月には、海外で流行している「スマッシュケーキ※」で、お誕生日を迎える赤ちゃんの撮影イベントを企画中です。
※スマッシュケーキとは、赤ちゃんが手づかみでケーキを食べること。ここでいう「スマッシュ」とは「壊す」の意。
――上野さんが頭脳、西田さんが肉体なんですね。パッと見は逆なイメージだったんですが。
上野:完全に私が頭脳です。
島村:僕は、今はとにかく仕事を覚えることが第一ですね。
僕が1カウントに数えられるようになったら、もっとできることが広がるので、がんばりたいです。
上野:スポ根に食らいついて(笑)
島村:はい、がんばって(笑)
――三人集まると文殊の知恵といわれますし、より一層広がりを見せられそうですね。ほかには何かございますか?
上野:発信と合わせて、地域に根差した活動にも力を入れていきたいと考えています。支援センターでの活動とか、ね。
西田:営業をかけていきます!
――社長はいかがでしょうか。
金澤:こうやって、若い人が自由に感性を発揮できるのがいいですよね。
私が大切にし続けたいのは、とにかく顧客目線を守ることだと思っています。
以前の2号店は、想いに共鳴した人よりもハコを優先してしまったがために上手くいきませんでした。
そのことを忘れずに、経営者である前にお客様側の意識を大切にしたいです。
今後、ますます空き家は増えていくでしょう。
今は写LULUの想いを同じくする人をしっかりと増やして、いずれはきちんと人を揃えたうえで2号店を越谷に出店できるようにしたいですね。
◇取材を終えて
取材後に撮影予約が入っていたお客さんが、撮影風景の見学を快諾してくれた。
三人のお子さんがいるファミリーで、末っ子の子はまだ生後間もない赤ちゃんだ。
上野さんがカメラを構え、西田さんがディズニーキャストさながらに盛り上げる。
島村さんはふたりの様子を見つめながら、お姉ちゃんお兄ちゃんとコミュニケーションを取っていた。
チームプレイが、家族の今を写す一枚を作り上げる。家族と負けないくらい、三人もいい表情をしていた。
筆者にも子どもがいるが、忙しなく時に戦場のような日々を送るなかで、一瞬を切り取った写真には見過ごしてしまっている幸せが映し出されると感じている。
ささやかな、それでいて尊い幸せだ。写LULUは、今日もそんな「一枚」を撮り続けている。
▽今回お話しを伺った場所
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