騙されて登った高みから見えたのは、新しい景色。ーー“ROCK CUBE”が誘うボルダリングの世界
この記事は、ROCK CUBE社のスポンサードコンテンツとしてお届けいたします。
「人を騙したいよね」と言う人が目の前にいたら、一体どのような印象を抱くだろうか。危ない人だと距離を置く? 「嘘つきはよくない」と苦言を呈する?
今回お邪魔したのは、南越谷にあるボルダリングジム「ROCK CUBE」。オーナーの江原俊さんは、今があるのは騙された結果だという。
2020年、東京で行なわれる五輪の追加種目にスポーツクライミングが正式決定され、最近では子ども用施設の壁面にも見かけるようになったボルダリング。江原さん、スタッフの今野瞳さんにその魅力を語ってもらった。
「60歳まで働きつづけたい仕事」を求めた異色のキャリア
――ボルダリング用の壁面を前にしていますが、第一印象は「登れる気がしない」ですね。迫力がすごい。
江原俊さん(以下、江原):いやいや、初心者レベルからチャレンジすれば登れますよ。小さなお子さんでも登れますから。
――筋力もなければ体育が苦手な運動音痴なので、まったくできるイメージを持てないです(笑)ROCK CUBEはいつオープンされたんでしょうか。また、南越谷ラクーンにオープンしようと思った理由をお聞かせください。
江原:オープンしたのは2015年7月です。ここにオープンすることになったのは偶然なんですよね。
僕は、今は越谷市外に住んでいるんですが、元は越谷生まれ・越谷育ち。この場所がOPAだった頃からずっと知ってます(笑)
だから、お店を開くなら地元にしようかなという思いがあったんです。ひとまず知り合いは来てくれるかな、と思って(笑)
インターネットでテナントを探していたんですが、なかなかいい物件には出会えませんでした。
ボルダリングって、天井高がある程度必要なんですよね。いいテナントを見つけても、天井高がボルダリングジムには不向きで断念したこともありました。
この場所を見つけたのは、僕が南越谷ラクーンに足を運んだのがきっかけです。
ガランと空きスペースになっているのを見て、警備員さんに「今、管理人の方っていますか」といきなり声をかけまして。そして、「ここって借りられませんかね」と即打診したんです。
――「思い立ったら吉日」を地で行く勢いのよさですね。
江原:そうですね(笑)
管理人の方の返事は「多分大丈夫だと思いますよ」でした。
この場所で天井高を確保するためには、天井板を剥がして構造を剥き出しにする必要があったんですが、それもOK。聞いたところ、インターネットのテナント情報には出していない物件だったんです。思わぬ収穫でした。
――独立開業しようとはずっと考えていらっしゃったんですか。
江原:自分で商売がしたい、独立したいという思いが元から強かったわけではないんですよ。
僕、これまでに2度職を変えていまして、最初はサラリーマンとして富士通株式会社の法務関係の仕事を、その次は消防士をやっていたんです。
――キャリアチェンジの振れ幅がすごいですね。転職に至った理由をお聞きしてもよろしいでしょうか。
江原:どちらも「60歳まで今の仕事を続けるイメージが持てない」のが理由でしたね。
サラリーマン時代はハードワークだったので、働き方という観点でも難しさを漠然と感じていました。消防士を目指したのは、赤信号が理由です。
――赤信号。
江原:ええ。ある日、信号待ちをしているときに、サイレンを鳴らした消防車が勢いよく赤信号の道路を突っ走っていったのを目にしたのが理由です。
僕らは日々守らねばならないことが多いですよね。その上、僕は法務の仕事に携わっていました。法令遵守を推進していく立場だったんです。
それなのに消防車は赤信号を突っ走って行きました。守るべきルールを超えるその行為を見たときに、初めて消防士という職業を意識しました。
――それで、消防士を目指された?
江原:ええ。
そこからはもう猛勉強です。無事合格して退職届を出したとき、同僚や上司に「消防士になります」と話したら目を丸くされましたよね。
「子どものときの夢なの?」と訊かれたり。子どもの頃に消防士になりたいと思ったことはないんです…(笑)
――そうまでして実現させた消防士から、なぜ今の道に進まれたのでしょう。
江原:ボルダリングに本格的にハマったのは、消防士になってからなんです。
消防士は、24時間勤務・非番・休日・24時間勤務を繰り返す勤務体系でして。
非番は休みではありませんが、火事や災害が起こらなければ仕事はありません。
ボルダリングに熱中するにつれ、非番や休日にボルダリングに行くようになりました。
そのうち、仕事とボルダリングとのバランスがおかしくなってしまったんです。
仕事しながら先輩と登る話ばっかりで。
その時ですね、ボルダリングジムを仕事として意識したのは(笑)これなら60歳まで続けられるぞって。
――それで、独立を意識し始めたわけですね。転職とは異なる心理的なハードルはなかったのでしょうか。
江原:通っているボルダリングジムのオーナーさんに相談したりして「これなら僕でもなんとか独立できるんじゃないか」と思っていましたね(笑)
当時、すでに妻と結婚していたんですが、妻も快諾してくれました。
妻も公務員なんですが、僕が消防士に転職したときには「夫婦揃って公務員じゃなくてもね」と話していたのもありまして。妻が賛同してくれてよかったです。
開店後、今に至るまで多くのお客さんに来ていただいているわけですが、実は当初来るだろうと予測していた知り合いは来たことがないんです。
オープンしてから3年以上経つのに、未だに直接の知り合いが来ない。なぜなんだろう(笑)
「騙されて入った」ボルダリングの世界
――今野さんがスタッフになった経緯の前に、ボルダリングとの出会いについてお聞きしたいです。
今野瞳さん(以下、今野):きっかけは彼氏ですね。
彼氏がもともとボルダリングが好きで、誘われるがままついていったんです。
ROCK CUBEにも、最初はお客さんとして訪れました。最初は「無理無理」と思って見ているだけだったんですけど、見ているうちにトライしてみようかな、と。
江原:で、登れなくて悔しくなっちゃったんだよね。
今野:負けず嫌いなんです。彼氏を見返したい気持ちもあって、ひとりで練習に通うようになりました。
江原さんからの丁寧なアドバイスも受けながらチャレンジし続けて、やっと登れたら快感で。まんまとハマっちゃったんです。
江原:騙されちゃったんですね。僕もそうです。
――江原さんが本格的にボルダリングにハマったのは、消防士時代とのことでしたね。
江原:はじめてトライしたのは18歳頃なんです。
ただ、その頃はなかなか登れなかったのとジムが遠かったという理由から、フェードアウトしてしまいました。
それから約10年後、ちょうど近くにボルダリングジムができた。
そこのジムも小規模のジムだったんですが、すごく居心地がよくって登りに通ってました。
ボルダリングってもともとは外の岩場を登られていたもので。昔から登っている方々は、ジムがない頃から登っているわけです。
外岩も楽しそうだなと思ってたら、ちょうど消防の先輩に「江原、行くぞ」って誘ってもらって。
その楽しさに出会って完全に騙されましたね(笑)
外の空気を吸いながら登るのは、屋内とは違った魅力があるので。
――そして、そんな江原さんが今野さんを騙した?(笑)
今野:かもしれません(笑)
江原:彼氏と僕に騙されたのかもしれません(笑)
今野:常連として通ううちに、江原さんからスタッフにならないかと打診を受けました。当時は学生でした。
就職で一旦は辞めたんですが、今は月に2~3回またスタッフとして勤務しています。
勤務日以外にも登りにきているんですけどね(笑)
「できない」に向き合いつづける時間が大半。束の間の達成感がクセになる
――ROCK CUBEのお客さんの年齢層や性別に傾向はありますか?
江原:単発で来店されるお客さんは、6割が男性ですね。
継続的に来られるお客さんになると、やっぱり男性が中心になり、女性は2、3割程度。
およそ8割がホームページで知って来店してくれているようです。平均年齢は30~40代が中心ですが、下は6歳、上は75歳までいらっしゃいますよ。
――え、75歳の方が登れるんですか…?
江原:以前からやられている方ではありますが、登れますよ。
ボルダリングは老若男女オールOKの生涯スポーツなんです。だから、皆さんも登れます。
――勧めますね(笑)腕立て伏せが1回もできない、筋力のない人間でもできますか?
江原:できますよ。
皆さんよく誤解されているんですが、ボルダリングって腕の力で登るわけじゃないんですよ。大切なのは脚なんです。
イメージとしてわかりやすいのは、ハシゴです。ハシゴ、腕で登りますか?
――いえ、手を添える程度ですよね。脚で登ります。
江原:ボルダリングも一緒なんですよ。
でも、多くの人が、どうしても意識が腕にいってしまって、脚がおざなりになってしまうんです。
その結果、腕に過度な負担を強いてしまい、それなのに登ることもできず、「もう嫌だ」となってしまう。
僕も今野さんも、ボルダリング仲間はみんな「どうやって足に体重を乗せてやろう」とその事ばかり考えてます。
――シュールですね…(笑)わたしも腕の筋肉が重要だとばかり思っていたので意外でした。なるほど…挑戦してみようかな…。
今野:ぜひ(笑)ボルダリングのよさは、共感のしやすさなんです。
誰かが登っている姿を見ながら、「ガンバ!」と応援し、成功したら「ナイス!」と声をかけ合います。
ゴールまで到達できたら、下りてきた人とグーパンチで喜びを分かち合うんですよ。
江原:初心者から玄人までレベルの違いはあるんですが、結局向き合っているものは同じなんです。
達成感は束の間で、ほとんどの時間が「できない」の繰り返し。
悔しさや苦しさ、登れたときの達成感はレベルを問わず一緒なので、玄人が初心者を下に見るといったことはないんですね。
――確かに、「できた」「できない」がシンプルなスポーツですもんね。「できない」に向き合う期間はケースバイケースかと思いますが、たとえばどの程度の長さを経験されたことがあるのでしょうか。
今野:2ヶ月トライし続けたことがありますね。
――2ヶ月!
江原:いや、もっと長いのあったよね。
今野:ありました。えっと、半年ですね。
――半年…!?
今野:「ここ、ここがクリアできない!」っていうところがあるんですよ。
江原:途中で嫌になって、別のコースに変えることもあるんですよね。
でも、クリアできていないモヤモヤがどうしても残ってしまって、結局再チャレンジする人が多いんです。
――苦行のようです…。でも、楽しいんですよね。
今野:楽しいですよ!(笑)
「“よくぞ騙してくれた!”と言われたいですね(笑)」――ROCK CUBEの、これから。
――2020年に開催される五輪の追加種目にスポーツクライミングが採用され、新たな層にも注目されていくのではないかと思います。今後のビジョンは何でしょうか。
江原:もっと地元と繋がっていきたい思いがありますね。
越谷の地元の方が登りにくると、「ここってOPAでしたよね?」っていうだけで軽く盛り上がります。もうなんだかんだ20年も前の話ですからね。そのただOPAっていうだけで、地元感が出て繋がれるってちょっと素敵だなと思います。
「ROCK CUBEで登ったことあるよ。元OPAのとこにあるお店でしょ?」って感じでどこかで話してもらえるなら、なんか嬉しいですね。
こうしてKOSHIGAYAZINEさんと繋がったのも、地元が越谷だったからですし。
あとは、屋内でのボルダリングをきっかけに、外岩を体験できる機会も作りたいです。
中が好きな方もいらっしゃるんですが、外岩の楽しさを知ることで続けたくなる人もいらっしゃるので。
せっかくボルダリングに出会ったのだから、できれば続けてほしいですしね。外岩の挑戦に対するハードルを下げたいです。
今野:わたしもだったんですが、女性は男性ばかりのジムだとハードルが高いと思うんです。
でも、ぜひ一度入りやすそうなジムで体験してみてほしいですね。達成感、やみつきになりますから。
江原:僕、甲本ヒロトが好きで、何度も見ている動画があるんです。
彼の言葉で、
「友達からはガキんちょばっか騙してんじゃねぇって言われるんです」
「でも、ガキんちょだますのがロックだと思う。だって俺中1ん時だまされたんだもん」
「ラッキー、それがやりたかったんだ」
っていう名シーンがあるんですが、僕もいい意味で騙したいんですよね。
「やってみなよ、楽しいからさ」って。
――江原さんも騙された口ですしね(笑)
江原:ですね。でも、「よくぞ騙してくれた!」っていう感謝の気持ちが強いです。
だから、今度は僕が騙したい(笑)
最近、ボルダリングにハマってしまって、仕事を変えようか迷っている人がいるんですが、僕は「辞めときなよ」ではなくて「いいんじゃない?」と言う立場にいたいですね。無責任にそそのかすのではなくてね。
ROCK CUBEを開いてよかったなと思うのは、「ROCK CUBEだったから続けられた」という言葉をもらうときです。
自分がホームだと感じているジムのことをホームジムっていう呼び方をするんですが、ROCK CUBEがホームジムだと感じてくれる人が増えたらうれしいですね。
ここでボルダリングの楽しさを知って、もっとうまくなるためにいろんなジムで登るなんてことがあってもいいなと思います。
居場所がここにあって、ここに来れば仲間と会えるとか、そういう繋がりを提供できる場になれるのであれば嬉しいですね。
登り続けていれば、必ずまたどこかで会えますから。
――将来、オリンピック選手などが輩出される日が来るかもしれませんよね。
江原:ええ。「ボルダリングをはじめたきっかけは南越谷のROCK CUBEです」っていう人が生まれたらテンションが上がりますね。
でも、こうも思います。
もちろんボルダリングをやってるわけですからボルダリングを上手になりたい、上手になろうと考えるのは大切なことだと思います。
その一方で、ボルダリングから得てもらえることが何か1つでもあるなら嬉しいです。
「諦めなければなんとかなる」とか「自然を大切にしなきゃ」とか、「仲間と一緒にやるとひとりよりもうまくいく」とか、なんでもいいと思うんです。
「ボルダリングを上達しよう」という気持ちと、「ボルダリングから何かを学ぼう」という気持ち、どっちも大切にして欲しいですね。
【インタビューを終えて】
「腕の筋肉がなくても大丈夫」との言葉を受け、腕立て伏せが1回もできない筆者を含めたKOSHIGAYAZINEチームも実際にボルダリングを体験してみた。
ボルダリングは、定められた順番に手足を動かすのがルール。ただし、初心者向けレベルは脚の移動場所が自由だ。
はじめにトライしたのは、壁が手前に傾斜しているコース。ここで、「脚を見つめる」の意味を体感する。
「落ちる」と思ってしまうせいで、どうしても脚ではなく腕にばかり力が入ってしまうのだ。
そこで、壁が少しだけ向こう側に傾いているコースに再チャレンジ。
結果、なんと筋力の全然ない筆者、1番初心者のレベル・もう1段階上のレベルをクリア!
江原さん曰く、「子ども時代にうんていやジャングルジム、木登りをしていた人に適している」のだそう。
木登りをする子どもだった筆者、その後も繰り返しトライ。
登り切ったときの達成感は、確かにやみつきになる。おふたりが「ハマった」理由を体感したひとときだった。
ワイワイ言い合いながらトライするとモチベーションが上がるため、ぜひ複数人で訪れてみてほしい。
クライミングが初めての人と
「楽しかったですー!バキバキになりそうだけどw」
「それは良かった!筋肉痛3日残りますよ!」
「そんなにー!?」
「きっと登ったこと後悔しますよw」
って毎回やりとりするけど、そのやりとりを出来るのは本当に嬉しい。
— ヒゲ眼鏡テンチョ (@rockcube2015) February 22, 2020
▽江原さんと今野さんがクライミングしている様子はこちら!
▽埼玉たまこ(@saitama_tamako )さんによるROCK CUBEクライミングジムの体験記事もあります!
南越谷の初心者でも楽しめるボルダリングジム「ロックキューブクライミングジム」に行ってきた!【提供記事】
【ROCK CUBE】
住所:埼玉県越谷市南越谷1-15-1 南越谷ラクーン4階
営業時間:平日13:00~22:00、土日祝10:00~21:00
定休日:第一・第三火曜日
その他:駐車場あり(有料)
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