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越谷に2000件以上ある空き家を活用し、街を活性化していくためにできることを考える。――「越谷ミライトーク#2」レポート

「早起きをして、有意義な一日を。」をテーマとした【越谷「HAYAOKI」プロジェクト】。そのうちのひとつが、越谷の未来を考えるトークイベント、「越谷ミライトーク」だ。

古民家複合施設「はかり屋」に店を構える「TSURUTO(つると)」の大方知子さん、宇波滉基さんがスピーカーを、「KOSHIGAYAZINE」の編集長・青野祐治がファシリテーターを務める。

毎回、異なるゲストスピーカーを迎えて開催。2019年4月20日(土)に開催された第1回には「丸の内朝大学」企画委員会事務局次長の山本寛明さんを迎えた。

第1回の盛況を受け、2019年5月25日(土)に行われた第2回は「TSURUTO」店内をイベント仕様に模様替えして開催された。第1回に引き続き、超満員で大いに盛り上がった第2回の様子をレポートする。

第2回のテーマは「松戸市の活性化に貢献 “omusubi不動産”に聞く、空き家を活かした地域コミュニティのつくりかた」

今回、取り上げたテーマは「空き家問題」だ。越谷市には、現在2050件ほどの空き家が点在しているといわれている。

イベントを開催した「はかり屋」もそうした空き家のひとつ。そして、リノベーションを施したことにより、人が集まる場所となった好例でもある。

空き家を再生し、地域活性の起点にする。

このテーマについてディスカッションするため、今回お招きしたのは、松戸市のまちづくりプロジェクト「Mad City」に参画し、こめをつくる不動産屋「omusubi不動産」を設立した殿塚建吾さん。

そして、はかり屋のリノベーションをはじめとした地域プロジェクトに携わってきた「越谷テロワール」の畔上順平さんのふたりだ。

▽第2回の告知記事はこちら。

【イベント情報】越谷の未来を考えるトークイベント、第2回「越谷ミライトーク」を開催! テーマは「松戸市の活性化に貢献 “omusubi不動産”に聞く、空き家を活かした地域コミュニティのつくりかた」@はかり屋

▽omusubi不動産の成り立ちが語られている殿塚さんのインタビューはこちら。

米づくりにイベントまで? 人を結ぶ “omusubi不動産”がつくる「自給自足できる街」のきっかけ

なお、今回は前回よりもスペースの広い「TSURUTO」店内で開催したにも関わらず、開始前には満員御礼となった。

空き家は多い。しかし、発信されている空き家情報は少ない

イベントは、まず殿塚さんがこれまで行ってきたことから語られた。

今回のテーマは「空き家を活かした地域コミュニティづくり」だが、殿塚さんはそもそもはじめから地域コミュニティをつくるために空き家の活用をしはじめたわけではないという。

「父親が不動産業を営んでいたのですが、子ども心に不動産業=お金のことばかりを考えている、といった思い込みがありまして。松戸で農業を営んでいた母方の祖父母の暮らしの方に憧れがありました。

環境問題に興味関心が高く、新しいものを次々に作ることへの疑問視もあった。そうしたことが積み重なり、自然と不動産に携わるのであれば、すでにある空き家を活用しようという方向性に進んでいったんです」(殿塚さん)

農業や自然に興味があった殿塚さんの想いは、「omusubi不動産」の在り方にも表れている。

「omusubi」の名の通り、殿塚さんは自らの田んぼを持ち、不動産業と合わせて稲作も行っているのだ。借主の他、地域住民も合わせた自由参加で田植えや稲刈りを続けている。

越谷市と同様、松戸も空き家が多い。omusubi不動産を立ち上げるとき、テナント探しの際のエピソードにもそのことは表れている。

「気に入っている通りがありまして、そこに空いているテナントがあれば借りようと思ったら、見事に空きばかりでした(笑)ネットでの不動産情報にはまったく載っていなかった物件ばかりです。空き家の情報は、なかなかネットには上がってこないんですよね」(殿塚さん)

空き家情報が上がってこないのには理由がある。

通常、空き家を賃貸に出す際には、それなりのリフォームが必要だ。しかし、大家にとって、借主がいるかどうかもわからない古い物件にお金と手間をかけることにはハードルがある。経済的に貸し出さなければならない理由がない限り、そのまま放置することにつながってしまうのだ。

「omusubi不動産では、現状のままお借りするため、大家さんの負担がありません。その分賃料も安くしてもらえるんです」(殿塚さん)

「売る決断」を下される前に、活路を見出す必要がある

空き家の情報が出てこないのは、越谷市も同様だと畔上さんはいう。

一元的に情報が管理されている場がないため、情報を把握することが難しいんです。そのため、地域の空き家情報に詳しくない限り、活用を考えている人と空き家とがなかなか結び付かない。結果、相続の問題が浮上したときに取り壊され、宅地化されてしまうケースが多いです」(畔上さん)

畔上さんは、越谷ミライトークの会場である「はかり屋」を救い生まれ変わらせた当事者のひとりだ。はかり屋も、家主が亡くなり相続することになったとき、危うく取り壊しの憂き目に遭うところだった。

「持ち主が『売ります』と行動を起こしてしまうと、基本的に外野の人間には手出しができません。買い取ろうにも、莫大な資金があるわけでもありませんから。

はかり屋は奇跡のようなタイミングで、今こうして生まれ変わることができましたが、多くが取り壊され、宅地化されてしまうのです。

相続の判断はすぐに行わなければならないため、現家主が亡くなってから動いていたのでは遅いんですね。だから、早め早めに情報を集めて行動を起こさなければならない。しかし、なかなか難しいのが現状です」(畔上さん)

越谷にはまだ活かせる古い建物が残っている

殿塚さんは、以前に越谷を訪れたことがある。旧日光街道沿いに対して、「いいところだと思った」と感想を述べた。

「松戸にも街道が通っているのですが、こちらはもう古い通りはほぼ全滅といっていい状況です。

取り壊されて、宅地化されたり駐車場になってしまったりしたところが多い。その松戸の状況と比べると、越谷は『まだ残っているな』と思いました。補修すれば大丈夫じゃないかと感じる物件も多いですね」(殿塚さん)

ただ、まだ越谷では空き家の活用が思うように進んでいないと畔上さんは語る。

「すでに老朽化が進んで危険性が高い物件への対応や、活用しやすい空き店舗への対応、いずれもあまり進んでいないなというのが実感です」(畔上さん)

畔上さんは、状況の打開にはプレイヤーとなるキーマンが必要だと考えている。活動の盛り上がりには、純粋に「盛り上げられることをしたい」という視点を持つ人が大切だとも語った。

「今、このミライトークも含めて、はかり屋周辺では盛り上がりを見せています。『何かやろう』と思う人は、若い人たちや外から来た人が多いのが特徴ですね。これは、目の前であればあるほど、資源に気付きにくいことの表れでしょう」(畔上さん)

空き家を活用するには、マンパワーが必要だ。そのため、商工会議所では、人材の育成を今行っているのだという。

大金を積まれても簡単に売り払えない。それが不動産

今回は、質疑応答の時間以外にも会場から積極的に発言するシーンも多く見られた。

松戸でのomusubi不動産の取り組みにより、どういった変化が起こったのかという質問に対し、殿塚さんは「店が増えたのが1番大きいと感じています」という。

「統計は苦手なので取っていないのですが、確実に増えたなという印象があります。おもしろいのが、大家さんが『この物件の1階には必ずパン屋さんを入れてくれ』という依頼があったんです。

呼べなかったらどうしようと思いながら引き受け、結果無事にパン屋さんに入っていただけました。お店が増えると、人とのつながりも増えます。ゆるやかなつながりが増えたように感じていますね」(殿塚さん)

殿塚さんが入居者を呼び寄せる戦略は、「SNSに投稿してみること」なのだそう。「ダメ元ですが、意外と届くものなんですよね」と笑顔を見せた。

大家にどう空き家の活用を理解してもらい、許可を得るのかという問いには、畔上さんが「いかにオーナーの心に入り込むかでしょう」と答えた。

越谷のように昔からある街では、先祖代々住まい続けている人も少なくない。畔上さんは今3代目だが、「3代目?うちは16代目ですけど」という家も多いのだという。

「16代に渡り越谷にいる人にとっては、3代目の僕も新参者。代々住んでいる人にとっては、新参者が勝手に何かをやることに対して快く思わないことも往々にしてあります。

だからこそ、丁寧にコミュニケーションを取り、関係性を築くことが大切なんです」(畔上さん)

代々続く家であればあるほど、自分の代で先祖代々受け継がれてきた家や蔵を失うわけにはいかないという想いが強い。しかし、その一方で「自分が死んだあとは好きにしてくれ」という想いを抱いている人も多いのだという。

「こうした想いに寄り添って、よりよい形にしていくことは、行政にはなかなか難しいことだと感じています」(畔上さん)

殿塚さんも、「はじめは知り合いのおばあちゃんが持っている家から手掛けていきました」とうなずく。

『動産』と『不動産』の違いって、そこに感情が積み重なっていくことだと思うんですよ。

家は、そこに想いや感情が積み重なってきているから、『大金を積んでもらったら売る』という感情になりにくい。最終的に困ったときに売る、という人が多いんです。

だから、何かうまい仕組みがあればいいと言われればそういうわけではなくて、むしろうまい仕組みには反発する人も多いのが特徴ですね」(殿塚さん)

一方、危機を乗り越えて生まれ変わった「はかり屋」で「つると」を営む大方さんと宇波さんは、「旧日光街道が、もっとおもしろい場所になればいいと思っている」と語る。

「場所は人がいてこそだと思っているので、おもしろいと感じてもらえる場所が増えるといいなと思っています。

人が集まれば、よりおもしろいことができることにもつながります。たとえば、このミライトークも、KOSHIGAYAZINEさんの取材を受けたことがきっかけで誕生しました。美術館や図書館をつくるなどをして、サスティナブルな通りになればいいですよね」(大方さん)

大いに盛り上がった質疑応答

駅前に空き家が多くあるにも関わらず、新築物件が建ち続けている。空き家の活用について、どう発信すればいいと考えますか。

殿塚さん:空き家の活用事例を作って発信することでしょうか。日本には新たに不動産を建てることに対する法整備がなされていないのも、こうした状況を作っている原因ですね。

畔上さん:正直、解決の糸口が見えない問題です。地道な活動をし続けるしかないといえます。新築を建てるよりもリノベーションの方が安く上がるといった発信をするなどでしょうか。

利用したい側から空き家情報を調べるには、どういった方法がありますか。

畔上さん:空き家バンクでしょうか。不動産屋さんに行く場合は、借りる前提になってしまうだろうと思います。

 

古民家のオーナーが抱えている困りごとにはどのようなものがありますか。

畔上さん:自分の代でなくさず、維持して次につなげたいと思っているが、すでに元の商売をやめている、子世代は都内に出て行ってしまっているといったケースが多い。都内に出て行った子世代は家に愛着がそれほどないことも多く、後継者問題とも絡んでくる話になる。残すアイディアがわからず悩んでいる人が多い。

オーナーに話を持っていく際、切っても切れないお金の話はどのタイミングで切り出していますか。

畔上さん:儲けられるといったことなど、金銭面のことから切り出さず、地域への気持ちをくすぐる言い方を心がけている。自分の代で壊したくないと思っている人が多いため、お金の話を前面に出すとかえって反発心を生んでしまうため。

殿塚さん:畔上さんとは逆で、お金の話で止まってしまうことがあるため、先に言うようにしている。

その他、越谷以外の地域から参加した人たちからは、その地域にすでにある空き家の活用事例や、今後の活用計画についての話も出た。

足を運ぶことで、見えてくるものがあるから。見に行ってみたい「楽しい場」を増やしていく

最後に、あらためて越谷エリアがどのような場所になってほしいのかについて、それぞれが想いを口にした。

「とにかく楽しい場所になっていってほしいと思っています」といったのは畔上さん。

大方さんは、はかり屋がテレビ番組に取り上げられたことにも触れ、「テレビの影響もあり、はかり屋を訪れる若い女性が増えてきています。

まずは店をきっかけに来てもらい、このエリアには楽しいことがあるんだなという雰囲気を作っていけたら。人が集まってくるなかで、新しいアイディアも生まれていくのではないかと思っています」と語った。

宇波さんは、「ハードの知識は僕にはないため、ソフト面から街の雰囲気、在り方を作っていきたい」と答えた。

最後に、殿塚さんが「今回、さまざまな事例も含めてお話しましたが、街に来てもらえるとより一層わかっていただけると思います。

6月29日、30日には松戸の日常を知っていただくためのイベントも行いますし、9月15日にはomusubi不動産のイベントとして稲刈りも行います。

こうした機会をきっかけに、ぜひ松戸にも足を運んでみてもらえたら」と締め、第2回目の越谷ミライトークも盛況のうちに幕を閉じた。

楽しめる場がコミュニティを生み、コミュニティの広がりが問題解決の助けになる

イベントを前にして、殿塚さんにインタビューをした際にも印象的だった言葉が「街を変えようと思ったことはない」だ。

まずは、関わることになった身近な人たちが喜ぶことをやっていく。そして、そのゆるやかなつながりが徐々に広がっていく。その起点となる場所を作るひとつの方法が、空き家の活用なのだろう。

何千もある空き家の問題を、個の力だけで解決していくのは困難だ。しかし、「楽しめる場」が一つひとつ増えていくことで、地域コミュニティは生まれる。

今回のミライトークは、多くの参加者でにぎわった。関心を寄せる人たちが増えていくことで、変わる未来がきっとある。

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