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地方と東京だけの関係性は終わった。ローカルが繋がって化学反応を起こせ。 ーー地域のファンを増やす、これからの「関係人口」のつくり方

関係人口」。近年、地方創生や地域活性化を推進していくうえで、知っておくべきバズワードとも言えるこの言葉。

移住でも、定住でもない、地域との”ゆるやかな繋がり”を指す言葉だが果たして、地域を盛り上げるために、必要な考え方とは。

今回は関係人口の創出をキーワードに、地域活性化のキープレイヤー「茨城移住計画」発起人の鈴木高祥さんと新しい移住の形「現代版参勤交代」を主催する「みんなの移住計画」、「京都移住計画」代表の田村篤史さんのトークイベント、「ローカルトークー自分で選ぶ最適な地方」で語られた内容の一部をご紹介する。

   鈴木高祥(すずき たかあき)

茨城県水戸市出身。株式会社カゼグミ 代表/茨城移住計画 発起人。

 

大学卒業後、人材総合サービス企業にてコピーライター、クリエイティブディレクターとして勤務。その後、シブヤ大学の立ち上げを経て、横浜を拠点に「世代間交流」「行政・企業・NPO連携」をテーマにした街づくりコンサルティング団体「SoLaBo」を立ち上げ代表に就任。横浜市をはじめ、様々な企業連携による共創の場づくり、およびワークショップの企画・運営を行う。2018年には「茨城移住計画」や、個人や組織が変容するために必要な相互作用がおきる場を ”発酵” に見立てた「カモス会議」を主宰するカゼグミを設立。また慶応大学大学院システムデザインマネジメント研究科や「エコロジーとエコノミーの共存」をテーマにしたThink the Earthにも所属し、様々なプロジェクトを手掛けている。

   田村篤史(たむら あつし)

株式会社ツナグム 代表取締役   みんなの移住計画 代表    京都移住計画 代表。

 

1984年 京都生まれ。立命館大学在学中、APUへ交換留学、NPO出資のカフェ経営に携わる。その後休学しPRや企画を行うベンチャーにて経験を積み、卒業後は海外放浪の末、東京の人材系企業に就職。会社員の傍らシェアハウス運営なども行う。2012年に京都へUターンし「京都移住計画」を中心に、町家活用のシェアオフィス運営や商店街活性といった地域に関わる仕事や、大学でのキャリアデザインやPBLの講義等も行う。「人と人、人と場のつながりを紡ぐ」をミッションに、2015年株式会社ツナグムを起業。2014年 『京都移住計画』出版

「東京でキャリアを積み、地元で起業をカッコいい」に。 地域に人を呼び込むための、新しい考え方

鈴木さん:これからの移住業界について田村さんにお聞きしたいです。今の時代、住みたいところにどこでも住めるということを考えたときに、人を集めるための施策ってたくさんありますよね。

コミュニケーションの取り方とか、入り口の作り方は、地域への移住や定住を促進する上で、ここがすごく重要になってくると思うんです。

これから、こうなったら面白そうだなとか、そっち側に人が行きそうだなって、感覚的なところであったりしますか?

田村さん:僕も答えがあれば知りたいくらいです(笑)ただ僕的に、次こうしようかなと思っていることをお話します。

移住のワードでリーチできる人って、既にやり尽くされているかな、という感覚はあるんですね。なぜかというと、移住に関するメディアって既にめちゃくちゃあるので、何かしらの手段で情報を知りたい人は、取れる状況になったと思っています。

逆に僕らみたいな小さい事業者って、それこそ東京でイベントをやるときに年々、集客がしんどくなっているんですよね。

当たり前ですけど、移住促進を図る自治体が増えれば増えるほど、そこはレッドオーシャン化していくところがあって。そこの戦いは、もういいかなというふうに思っているんです。

「外から中へ」という動きが飽和状態の中でじゃあ次は何をすべきか、というところで。その次のことをしようと。

例えば京都だったら、京都から外に出ていく流れってあるんですよね。大学を卒業して出ていくみたいな流れが。その流れを止めたい、とは思っていないんですけれど。

「出方の問題」かなと思っていて。要は、東京に一極集中する仕組みってだいたい、地方から上京して就職という形で流入してくると。僕も以前は東京圏にいたので分かるんですけど、毎年10万人ずつくらい、吸い上げていくわけですよね。

上京する人ってファーストキャリアとして、「首都圏で働くことだけ」を考えてきている人があまりにも多いと感じていて。

要はその先自分が、「自分の地元とどう関わることができるんだろうか」とかゆくゆく、「自分は戻るのか」とかっていう先のことまで考えているかが重要で。

例えば、結婚したら、子育ては?とか、自分の親の介護は?とか、自分の家が持ち家だとしたらその空き家はどうなるんだ?とか。

このへんって実は、人生の選択の重要なポイントかと思うんですよね。

ライフシフトもそうですけど、人生100年と捉えたら、もっと多様な生き方の選択肢をインストールした上で、東京に来た方がいいんじゃないかなと。

独身時代の20代は、東京でバリバリ経験を積んで、「戻って起業することがかっこいいくらい」になった状態で、きてほしいなというのは1個思っていて。

京都は、特に大学が多い町なので。そういったキャリア教育の在り方みたいなものを作れると、体質改善みたいなことができるような気がしていて。京都の話では、そんなことをイメージしています。

これからは「ローカルtoローカル」の時代

鈴木さん:それに近しいことを実は考えていて。移住のイベントとかも、地方自治体と東京の関係性で考えることがほとんどじゃないですか。

僕的にはここは皆やっているから、もう良いかなと思っていて。やりたいのは、「ローカルtoローカル」なんですよ。逆にこれからは、東京は相手にされなくなるんじゃないかなという感じもあって。

例えば、京都と茨城が何かをやりはじめたら、何そのやりとり?というので、食いついてくる人が「これからの関係人口の在り方」というか、スキルを持った人が参加できる方法なのかなと。

これが、東京と茨城だけの関係性だと、もしかしたらつまらないかも、と。京都と茨城の人が組んだほうが、たぶん、ワクワク感があるかなと。

新潟移住計画の代表とも同じ話をしていたんですけど、それいいよね、と。副業とかも、土日に関われる人が良いんじゃないかと。地方の会社に来ても、そこまでお金がもらえない。

それでも、地方に関わりたいという方はけっこういらっしゃる。交通費とかは、たしかにもらえたら嬉しいと思うんですけど。その対価を、思うようにお支払いできない場合も多い。そんななかで、お金じゃないものって、物資が一番強いじゃないですか。

例えば、東京と茨城じゃなくて、「東京と京都」で副業のプロジェクトを連携したときに、なぜか、「茨城の副業」をすると、京都の八つ橋がついてくるとか。物資が選べるみたいな。

田村さん:リターンが。

鈴木さん:選べるみたいな。「ふるさと納税の新しい形」みたいなものができると、可能性があるんじゃないかな、みたいなことは考えています。

言っちゃなんですけど例えば、新潟に住んでいる人が茨城旅行をするかというと、あまりしないじゃないですか。

京都だったら、やるかもしれないですけど。茨城よりも、栃木の東照宮のほうが良くない?みたいな可能性はあるけど。そこを突破する何かをつくってあげたほうがいいと。

田村さん:たしかに。それに関して、1個事例としてあって。僕たちは一昨年、移住ドラフト会議というのを開催しまして。あれって、発祥の地は鹿児島なんですね。

鹿児島移住計画が始めた取り組みで。鹿児島移住計画さんからの発案で「鹿児島ナイト」という形のものを京都でやったんです。

何をやったかというと、京都の和束町というところと鹿児島がコラボして、両者とも「お茶の産地ですよね」という切り口で、京都と鹿児島が繋がりましょうという話をやったわけです。

それで、どういう取り組みをしたかと。お互いに地理条件が違うから、育て方が違うであったりとか、商品開発の仕方が違うみたいなことを、お互いが学びあえたりという形で。

鹿児島のお茶の産地の人が、和束に訪れて、フィードバックをしたり、逆もしかりですね。そういう形で、学び合えるような状態にしたんです。

要はキーワードでつないであげて、そこから人が地域をめぐるというような流れも、できなくはないんじゃないかなと思ったりしていますね。

 関係人口を増やすために。地域の魅力を伝えるカギは「情報編集力」

鈴木さん:最後の質問にいきたいと思います。観光でもなく、交流でもない、定住と移住の間の言葉を指す「関係人口」というキーワードが去年あたりから出てきて。どういうふうに関係性をつなぎますかという考え方なのですが。

これって、自治体間やプロジェクト毎で、定義は違うと思うんですよね。とはいえ関係人口という言葉が現時点ではまっているけど。それが正しいとも限らないですよね。

地域との関わり方において、キーワードになりそうなところ。例えば、いきなり地方での副業ってなかなか難しいから、まずはお祭りから手伝おうとか、いろいろな関わり方がありますよね。

今、東京とか、首都圏にいる人たちが関われる最初のステップとするときの心構えとか、考え方でいうとどういった言葉がこれからくるんじゃないか、みたいな。あったりしますか?よく最近聞くなとか、意外とここじゃないかとか。

結局、「関係人口」という言葉にまとめようとするからワークしないんじゃないですか。SDGsの話もそうなんですけど。

明確に各地域間にローカライズすることは、すごく重要だなと思っていて。京都だったらこれとか、茨城だったらこれが今ホットワードとか。それって、これからの移住業界ですごく重要かなと思っていて。

京都の場合だと、けっこう、このへんがキーワードかなというのはあったりしますか?仕事や、お祭りとか、どういったところがキーワードになりそうなんでしょうか?

田村さん:京都の場合は、間違いなく「祭り」はあるなと思っていて。祇園祭とか有名ですけれども。やっぱり、担い手の高齢化みたいなところで、すごく、持続性が危ぶまれているものがたくさんあって。

そこから入っていくというのは、地域のコミュニティと接することができるな、というところで一つのキーワードかなと思っています。

もう一つは、銭湯。京都には、割と残っているんですけど。銭湯は、関係人口の入口になり得ると、僕は思っていて。けっこう、商圏がすごくミクロな、町内会単位的な感じになっているじゃないですか。

昔から、そこに住まれている方々が多いので。そこも、銭湯がなくなっていくということも、起きつつある中で。

実は、銭湯の使い方というのが、地域の寄り合いどころになっていたり、場合によっては機能をアップデートして、子ども食堂をつくるとか、いろんな地域のハブになり得るものかと。

存在として、銭湯2.0みたいな状態が、各地域に生まれていくようなことがあっても良いかなという感じはしていて。

地域によって、ワードは違うかなと思っています。茨城は、それで言うとどうなんでしょう?

鈴木さん:茨城のキーワードってどうなんですかね?けっこう幅広いんですけど茨城県側も、すごく感じているのは、「魅力を伝えましょう」と、素材を提供しがちかなと思っていて。

その中でいかに、編集した、料理した状態で出せるかかな、と思っているんです。素材力は、圧倒的に、北海道に負けてしまうわけですよね。食の面では生産量でいうと茨城は、全国2位。

北海道についで2位なので。ただ、生産量で日本一でも、けっこう地味なものが多いんです。レンコンとか、ホシイモとか。

そこの情報加工力みたいなところが、課題だったりするので。茨城の場合だと、どういうふうに情報を再編集できるかというのは、一つ課題かなと。

もう一つは、「魅力度ランキング」。今茨城は、6年連続最下位です、と。とはいえ、最下位だからこそ実験台として、やれる土壌しかないわけです。

それでいうと、フィールドワークとか、挑戦できる状態なので。実験として使えるというのがキーワードだと思っていますね、茨城の場合。

「健康寿命」を伸ばす。「スポーツ」をフックにした地域活性化を

田村さん:実験場として、外に開放できるか、みたいな。

鈴木さん:東京だといろいろ言われるけど、茨城はやれるんじゃないかみたいな。そこの挑戦もあり得るなと。実験的な場所と、編集というのは、茨城でいうと、そこかなという気はしています。

田村さん:あと、茨城移住計画もそうですけど、スポーツという切り口が。あれは、むちゃくちゃ重要だと思っていて。今後、捉えられるのって、健康寿命だと思っているんですよね。

都市の一極集中の形って言われる中で健康じゃない人たちが、確実に増えていって、医療費が莫大になっていくというよりかは。

そういう状態の人の、人生設計をすることで、医療費削減できるような状況が、実は茨城はしやすいんじゃないかなと。そういうデザインはあったら良いんじゃないかな。

鈴木さん:スポーツで言えば、みんなの移住計画でスポーツ大会をやれば良いんじゃないか、と。

田村さん:運動会しますか(笑)

鈴木さん:運動会。来年は運動会。国体とかに出た選手をどれだけ集めることができるか。そっちのほうが面白い。スポーツ自体は、ぜんぜん、子どもでも参加できるようなルールを作ったりすると、そこで交流が生まれたり。

田村さん:良いですね。能力差がでないような設計にしちゃうやつですよね。

鈴木さん:無駄にプロスポーツ選手がいるとか、面白いかなと思っていて。スキルは問わないんだけど、楽しめる、みんなの移住計画のトーナメントがあったら面白いなと思って。

なんで、これ、今年やらなかったんだろうみたいな。オリンピックめがけて、それも面白いなと。スポーツは茨城に限らず、どこの地域でも必要だと思いますね。


東京でキャリアを積み、一定のスキルを身につけ、地元で起業する。

地域同士が繋がり、新たな産業を生み出す。

ベッドタウンであるこの街にも同じことが言えるのではないだろうか。

まだまだ、手垢がついていないからこそ、様々なスキルを持ち寄ることで、面白い試みができる。僕たちも、このイベントでの学びをもとに、越谷を面白い街にしていきたい。

なお、本イベントに登壇された田村さんが代表を務める、「みんなの移住計画」では、現代版参勤交代と称した、新しい移住の形を具現化したイベントを実施する。

他地域への移住や地域活性化に興味がある方は、ぜひ応募してみてはいかがだろうか。

企画・撮影・文:青野祐治

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